HOME > 日々雑感:よくわからないこと?! > アート > 【Crossroad:掲載記事】『熊ヶ丘に獅子が立つ』(南館麻美子)(2010年2‐3月合併号掲載)
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彼女の作品を見ていると、その作品を「窓」として、何かぼんやりしたイメージの中に引き込まれていくような、そして何かほっとする温かさが感じられるような感覚にとらわれる。
作品そのものやなかに登場する人や動物(時として架空のもの?)には、表面的には、動きや表情がない。それにもかかわらず、作品からは様々なイメージや感覚が我々に運ばれてくる。
彼女の小さな体の中には大きな世界が広がっていて、それは単に空間的なものだけでなく、時間的な広がりも持っているに違いない。
彼女は、その世界を様々なキーワードを手掛かりに作品として形にしているのだろう。
その世界は、彼女が言うところのルーツであったり、古い記憶や、子供のころの体験、遠い記憶のぼんやりとしたイメージであったりする。
また、それは単に彼女が持っているだけのものでなく、私たちも自らの中に共有しているあるいは共有できるものではないだろうか?
それが、彼女の作品を見たときに感じる「もの」ではないだろうか?
これまで、そのキーワードは「見かけと存在」や「窓からの眺め」であったりした。
次はどのようなキーワードで私たちを彼女の世界に連れて行ってくれるのだろうか?
略歴:
1971年岩手県盛岡生まれ
多摩美術大学及び同大学院卒業
第75回日本版画協会展立川賞受賞(2007年)
第5回池田満寿夫記念大賞展大賞受賞(2007年)
版画では「メディウム剥がし刷り」という新しい手法に取り組む。
版画以外にも木彫りも手掛ける。
2010年2月15日~27日までシロタ画廊(東京・銀座)にて個展開催予定。
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