HOME > 日々雑感:よくわからないこと?! > アート > 【Crossroad:掲載記事】『きらめく日まで』(金子奈央)(2010年10月号掲載)
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私たちにまっすぐ向けられている大きな眼差しが特徴的な作品だ。その女性には、私たちの視線をさりげなく拒否するかのような気品があふれている。しかし、だからといって、私たちに冷たくするわけでもなく、温かい雰囲気で包んでくれるのだ。
その眼差しは、私たちの注がれるわけではなく、どこか虚空を見つめているようだ。作者が好きな仏像の眼差しにも似ている。その眼差しからは、少女たちがよく抱く、現在、未来、存在等々に対する不安などはあまり感じられない。むしろ、今現在の生活に対する充実感や、将来に対する安心感の様なものを感じさせる。
作者は「少女の眼差しは虚ろいながらも、貴方の心にいざなう夢を語りかける」といっている。それは作者自身が、その内面にあるものを伝えたいという強い想いを持っているからだろう。そこには作者の現在、未来あるいは存在等々へのポジティブな思いが感じられる。このような思いは作者の成長とともに変化していくのだろうか?
作者の作品は、ノスタルジックな雰囲気に包まれていると言われるようであるが、それは中原淳一や竹下夢二の作品を連想するからだろうか、あるいはその眼差しを通じて自らのあるいは作者の内面のイメージに引き込まれていってしまうためだろうか?
金子 奈央 (Nao Kaneko)
1985年 東京生まれ
2008年 多摩美術大学絵画学科油画専攻卒業
個展開催
2009年 ギャラリーQ 東京・銀座
2010年 ギャラリーQ 東京・銀座
三越ギャラリー 東京・銀座
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