【Crossroad誌:掲載記事】『水玉のスカート(大矢加奈子)』(2011年1月号)
大矢 加奈子 (Kanako Ohya)
作品タイトル:『水玉のスカート』
大矢加奈子は少女、室内、バスルーム、また最近ではゴミ、という日常的な題材をモチーフにして作品を制作することが多い。題材は日常的ではあるが、その題材が日常的であればあるほど、どこか現実からかい離したイメージの世界がそこには展開される。背景が白色で、そこにオレンジと青紫色を主体に描かれることが多く、写真のネガを見ているような印象もあり、それも非現実的な世界をイメージの増幅している理由の1つかもしれない。
私たちの日常は、せわしないスケジュールに追われ、あふれる情報には押しつぶされそうになり、わずらわしい人間関係には惑わされている。しかし、ふと立ち止まって考えてみると、それらが自分自身と本当に繋がっているのかよくわからないし、自分の存在そのものが不安定なものであることにハッとさせられることがある。彼女の描くという行為も、現実と非現実の世界の中にあって自分自身を確認しようとしているのかもしれない。
この作品でも、絶えず変化するものとしての少女が登場し、その少女の世界は朽ちていくスカートのように、変化し流動的なものだ。しかし、朽ちていくといっても、それは花に変わっているようで、何か未来への確信を感じさせ、ほっとさせられる。
略歴:
1983 神奈川県生まれ
2006 東京造形大学美術学部美術学科絵画専攻卒業
2008 東京芸術大学大学院修士課程美術研究科絵画専攻修了
展覧会履歴:
2010年 「大矢加奈子展」hprpg GALLERY東京(東京)
「室内風景」Gallery Jin Project(東京)
2009年 「大矢加奈子展」hprpg GALLERY東京(東京)
「Empty Room(gradation)」HP FRANCE WINDOW GALLERY(東京)
2008年 「Empty Room」Gallery Jin Project(東京)
「ART AWARD TOKYO」行幸地下ギャラリー(東京)
受賞歴:
2009年 第28回損保ジャパン美術財団選抜奨励展秀作
2008年 群馬青年ビエンナーレ大賞
問い合わせ先:
hpgrp GALLERY 東京」
Tel:81-3-3797-1507 E-mail:art@hpgrp.com