HOME > 日々雑感:よくわからないこと?! > アート > 【Crossroad誌:掲載記事】『私は私の声を聞く(阿部清子)』(2010年11月号)
阿部 清子 (Kiyoko Abe)
彼女の描く人物の強い眼差しには、思わず射すくめられてしまう。何事にも自信が無い私としては、その人物の視線を通して、私の内面全てを見透かされてしまうような感覚に包まれ、どうも居心地が悪い。
「その人の意思を描きたい」という彼女自身も、自分自身の内面、それから彼女が接する人達との関わりを通して、自己の存在そのものを確認しようとしているようだ。
人物画が中心なのは、多分、そのような自己確認のための行為を行うためなのだろう。
更には、通常の作品を描くことに加えて、老人ホームの慰問も行い、そこのご老人の似顔絵も描いているそうだ。そのような「一期一会」的な出会いも作品に影響を与えているかもしれない。
絵を描く際には、事前にタイトルを決めてから取り掛かるそうだが、描く人物には、それぞれ役割が与えられて、命を吹き込まれていく。また、それは彼女の命でもあるのだ。
以外にも彼女は大変な怖がりなのだという。よく聞いてみると、「わからないことが怖い」のだそうだ。わからないことがあると、きっと、正面から切り込んでいくのにちがいない。怖がりだといっても、ただの怖がりではない。私も少しは見習わないといけない。
略歴:
1970年 東京生まれ
1996年 第7回臥龍桜日本画大賞展入選(洋協アートホール・銀座)
2005年 「万様種子展」(佐藤美術館・千駄ヶ谷)
2006年 「阿部清子展」(柴田悦子画廊・銀座)
2007年 「阿部清子展-劇場-」(柴田悦子画廊・銀座)
2008年 「阿部清子展-多感のすすめ-」(柴田悦子画廊・銀座)
「墨のチカラ」(羽黒洞木村東介・湯島)
2009年 「男が描く男 女が描く女」(柴田悦子画廊・銀座)
「河童展」(天神下はぐろ洞・湯島)
「阿部清子展-結婚-」(柴田悦子画廊・銀座)
2010年 「男の墨 女の墨」(柴田悦子画廊・銀座)
「指派-ゆびのは-」(アートフェア東京・秋華洞)
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