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【Crossroad誌:掲載記事】『スカートの裾がぬれてはいけない(樫木知子)』(2010年12月号)

樫木 知子 (Tomoko Kashiki

作品タイトル:『スカートの裾がぬれてはいけない』 

スカートの裾がぬれてはいけない.jpg

最初にこの作品を見たときは、水上にたたずむ女神(例えば観音像)を描いたものかなと思い、タイトルはとみれば、「スカートの裾がぬれてはいけない」であった。よくよく見ると背景はブロック塀で、その切れ間からはなぜか屋内の木製の階段の様なものが見える。水上と見えたものも小路の水たまりかもしれない、とも思える。また、人物の指は奇妙にまがり、水面に映る脚も曲がっているようだ。夢なのか現なのか、外なのか内なのか、現在なのか過去なのか、よくわからない不思議な空間がそこには広がっている。それは、一見、簡素な空間に見えるが、実は奥深い濃密な空間で、作者と絵の中の登場人物、あるいは絵を見るものとの、時間を超越した相対的な空間を作り出している。

作者は「美しい女性を描きたい」という。作者が「見たい行為」「したことのある行為(していて心地よかった、又は不快だった、などの印象深い行為)」あるいは「してみたい行為」といった自身の「願望」を発端として、製作を行うという。製作は、アクリルを塗っては削るという作業を何回も繰り返し、画面を作っていくという。その長い一連の行為の中から、思い描く架空のイメージに近づけるために、不必要なものをそぎ落とし、またそぎ落とし、イメージするものを掘り起こし、作りだしていく。それによって、作者自身の「願望」=「夢・理想」の世界に少しずつ近づいていくのかもしれない。

略歴:

1982年 京都府生まれ

2006   京都市立芸術大学美術学部美術科油画専攻卒業

              その後同大学美術研究科博士課程絵画専攻(油画)在籍

個展:

2006   「萌芽のとき 樫木知子展」ギャラリー16(京都)

2007   「樫木知子展」ギャラリー16(京都)

2008   「樫木知子」MEM(大阪)

2009   「樫木知子」オオタファインアーツ(東京)

賞歴:

2006   京都市立芸術大学修了制作展同窓会賞受賞

2007   アクリル美術大賞入賞

2009   VOCA奨励賞受賞 

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