HOME > 日々雑感:よくわからないこと?! > アート > 【Crossroad誌:掲載記事】『room of womb(白石綾子)』(2011年2・3月号)
白石 綾子(Ayako Shiraishi)
作品タイトル:『room of womb』(アクリル、油彩、パネル)
暗闇に恐る恐るライトをあてると、そこには背中を向けて寝そべる女性が・・・。ふっと昔読んだ川端康成の『眠れる美女』という小説を思いだした。「そこにいる女性」は手を伸ばせばすぐ届く距離にいるのだが、どこか近づきがたい距離がそこには厳然と存在していて、そこには永遠に近づくことが出来ない。
白石綾子さんは、「女性の視線」で女性を描いているそうで、描かれる「外形的」姿態と、その描かれた女性や床に浮かび上がってくるように表現される「内面的」(花柄)模様は、女性の「外面と内面」とを表現しようとするかのようだ。その「外面と内面」とは何なのか?それらは、どの様に形成されたのか、あるいは生まれつきそこにあるものなのか?
また、そこには「生」と「性」というものが混在し、意識的にしろ、無意識的にしろ、常に我々をとらえて離さない。その「生と性」は、浮かび上がるように描かれた「花(柄)」にも象徴されるし、「円形のキャンバスを使用」することは作品タイトルにも使用されている「子宮」(womb)の象徴でもある。
作家が、意識しているのか、あるいは意識していないかはわからないが、日常的に、また生来的に感じている様々な疑問に対して、女性という視線から挑戦しているようにも思える。
そのような作家の強い内面的な思いが、非常に柔らかく、抑制された形で表現されている作品だ。
略歴:
1982 群馬県生まれ
2006 武蔵野美術大学美術造形学部 油絵学科油絵専攻 卒業
2008 武蔵野美術大学大学院 造形研究科 修了
個展
2007 ギャラリー b.TOKYO(東京)
2011 ギャラリーQ(東京)
受賞
2007 武蔵野美術大学優秀作品展—優秀賞 三雲賞
前橋アートコンペライブ 銅賞
2009 武蔵野美術大学優秀作品展—優秀賞
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