2011年6月/日々雑感:よくわからないこと?!

2011年6月

【Crossroad誌:掲載記事】『残像(佛淵静子)』(2011年5月号)

佛淵 静子 (Shizuko Hotokebuchi

作品タイトル:『残像』(麻紙・墨・胡粉・岩絵具)

110419_写真_残像.jpg

 

コメント:

「ナース」が太極拳(?)をしているのだろうか?何故、ナースなのだろうか?何故、太極拳(?)なのだろうか?また、この2つの組み合わせの妙が、気になって仕方ない・・・しかし、この作品には、そのような私の俗っぽい関心など寄せ付けない、とても清澄な空間が充填されていて、そこからは心地よいリズムが感じられる。

作家は、「人が何かをしているときのしぐさ、意識を一点に集中させている瞬間の表情、そのフォルムの美しさを切り取り、絵にしたい」という。「静から動へ」また「動から静へ」という連続した流れの中で、意識が集中して、忘我の瞬間が訪れる。ポーズそのものは、何かおかしみのあるもののように思われるが、そのような瞬間は、どの様なポーズであれ、どこか緊張感のある静溢な雰囲気に包まれる。

対象以外の余計なものを一切廃し、また、その対象は、淡々とした線で描かれる。これそのものは、何ら劇的なものではないが、その線は、「空間に切れ目を入れる」ことで作家独自の空間が生まれる。また、意識しているという小林古径の作品のように、余計なものをどんどんそぎ落としていき、そこから本源的なものを切り出そうとしているのかもしれない。それが、作家が言う「リアルとも違う実感」なのかもしれない。

略歴:

1974   東京都生まれ

1998   多摩美術大学美術学部絵画科日本画専攻卒業

2000   多摩美術大学大学院修士課程美術研究科日本画修了

入選:

2007        第18回臥龍桜日本画大賞展入選

2009        第44回昭和会展招待 <日動画廊>

個展:

2001   <ガレリアラセン>(東京)(同20022004開催)

2008   <柴田悦子画廊>(東京・銀座)(同200920102011開催)

グループ展(直近):

2007       『清田悠紀子・佛淵静子-動と静の境界-』<みゆき画廊>

2009       Life展』<GALERIE SOL>(同20102011

              『男が描く男・女が描く女』 <柴田悦子画廊>(同2010開催)

2010       『男の墨・女の墨』 <柴田悦子画廊>(同2011開催)

              『柴田俊明・佛淵静子-white vision-』 <GALERIE SOL

【Crossroad誌:掲載記事】『待ちぼうけ(ハートの池)(森洋史)』(2011年4月号)

森 洋史(Hiroshi Mori

作品タイトル:『待ちぼうけ(ハートの池)』

待ちぼうけ(ハートの池).jpg

白い靴の少女は一体誰を待っているのだろうか?お父さん?お母さん?友達?「待ちぼうけ」というタイトルからすると恋人なのだろうか?そういえば、「ハートの池」が何か妙に意味深なものにも思えてくる。ハートの池に映るぼんやりした影をみると、少女の姿かたちも気になるし、またどのような表情で待っているかも気になってくる。「靴」という当たり前な存在が、見る者の心の中のイメージと一体となって、様々なストーリーが、そこに生まれ、不思議な世界が拡がる。

日本の古典美や表現技法と現代的な表現の融合がテーマとのことで、大胆な構図と表現方法で、絵画という2Dの世界に、3D的な空間と時間の世界を表現することが試みられている。「待ちぼうけ」では、尾形光琳の作品がイメージされるが、そこにハートの池(そこに影や水紋)、蝶、蛙、蛇といった小動物という作者独自のモチーフが加わり、動きを感じさせる独自の空間が生み出されている。さらに、雨が加わることで、空間のみならず、時間の流れも感じるものとなっている。

テーマは日常的で身近なものだが、作品全体としては、凛とした緊張感が漂う幻想的な雰囲気が創出されており、また、伝統的な琳派の屏風絵に、絵本やアニメのかわいらしさを閉じ込めたような不思議な作品となっている。  

略歴:

 1977 東京都生まれ
2000
 東海大学教養学部芸術学科美術学課程卒業
現在 東京藝術大学大学院修士課程在籍 受賞歴:

2008
  第44回 主体展 佳作作家賞
2010  
シェル美術賞2010 本江邦夫審査員奨励賞

個展:

2010  kinosho kikaku + Gallery156(東京)
2011   Shonandai MY Gallery
(東京)

グループ展・公募展:
2009  シェル美術賞展2009 代官山ヒルサイドフォーラム(東京)
2010
  ワンダーシード2010 トーキョーワンダーサイト渋谷(東京)
   
  第28回上野の森美術館大賞展 上野の森美術館(東京)
  
  「PrologueVI」ギャラリー・アート・ポイント(東京)
   
  シェル美術賞展2010 代官山ヒルサイドフォーラム(東京)
   
   GEISAITAIWAN#2  台湾台北市華山創意文化園區(台北)
2011  
Resonance Effect - 共鳴効果-kinosho kikaku + Gallery156(東京)
       
朝日新聞厚生文化事業団主催「Next Art展」 朝日新聞東京本社(東京)
松屋銀座(東京)

« 2011年5月 | メインページ | アーカイブ | 2011年7月 »

このページのトップへ