HOME > 日々雑感:よくわからないこと?! > よくわからないこと?! > 「金額のない請求書」
民主党の新代表が選出され、事実上、新しい総理大臣が決まりました。たまたまテレビで代表選の模様を見てしまったのですが、その候補者の演説などを聞いていて、何か現実とは遊離した別世界の話を聞いているようでした。代表に選ばれた野田さんの口からは「国民のため」という言葉が聞かれましたが、その言葉が国民に向けられているようには思えませんでした。
民主党政権が誕生してから3人目の総理大臣の誕生となりましたが、「国民の審判」を得ることなく、またそのポジションがたらい回しのされることになりました。更に、非常に残念なことは、当初国民に約束された事柄が全く守られず(というよりもそれを守ろうという姿勢さえ見えませんでした)、正反対の「増税路線」「官僚依存」の政治が行われるということになってしまったことです。(増税に全く反対というわけではないのですが…多くの国民がそうだと思いますが)
菅前首相が自画自賛した「社会保障と税の一体改革」などはその好例です。野田総理大臣の誕生で、この一体改革が進められることになるのでしょうが、ここでは国民への説明がほとんどなされずに(メディアでもほとんど具体的なことは報道されませんでした)、「所費税増税の道筋」が決められてしまいました。ここで行われたのは、国民に「金額の書かれていない請求書が送りつけられた」ようなもので、いくら引き落とされるかは国民に知らされていない、というものです。更に悪いことには、請求書の明細が何も書かれておらず、何に使われるのかはわからないし、それによってどうなるかもわからない、と言ってもよいようなものです。
ここでは、この「社会保障と税の一体改革」に若干コメントさせていただきます。
「税」の改革というのであれば、消費税だけでなく、所得税、法人税なども含めた全体の議論があってしかるべきです。また、財政赤字を補てんするためだけでなく、長期的な観点から将来の税収を増やすための税制改革もあってしかるべきです。
ただ増税するというだけで、何故必要なのか、いつ・どこに・どれだけ必要なのかといった議論が全くありません。
社会保障関連予算は、既に一般歳出の50%を占めるまでになっています。財源をねん出するためには、もはや増税ばかりでなく、如何に歳出を切り詰めるかも徹底的に議論しなければならないでしょう。
つい最近のことですが、米国では国債発行枠の引き上げ問題が進展せずに、デフォルトを引き起こすのではないかと心配されました。この議論でも、歳入をいかに増やすのか(富裕層に対する増税議論が中心でしたが)と、歳出をいかに削減するかが、議論されました。二者択一ではありませんでした。
尚、「年金」に関する議論ですが、今回の改正案で、基礎年金の財源が、事実上、すべて税となりそうです。以前は、基礎年金の保険料での負担を1/3から1/2に引き上げる際にもずいぶん問題になりましたが、今回は事実上、それが全額「税」という形になりそうです。
東日本大震災や福島第一原発事故などで、この問題がかすんでしまった感はありますが、このように重要な問題についての情報がしっかりと国民に伝えられないことは非常に残念に思います。結局は、財務省の思惑通りにすべてが進んでしまっているように思われます。
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