味千(中国)の「骨湯門」に思う:中国ビジネスの難しさ/日々雑感:よくわからないこと?!

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味千(中国)の「骨湯門」に思う:中国ビジネスの難しさ

このところ中国の味千ラーメンが「骨湯門」で何かと話題です。「門」はスキャンダルのことで、豚骨スープにまつわるスキャンダルで騒ぎになっています。

もとはと言えば、そのスープが店舗で仕込んでいるとされていたものが「濃縮還元スープ」であることが判明し、なおかつ「1杯に肉の10倍、牛乳の4倍となる1600ミリグラムのカルシウムが含まれている、」と宣伝していたが、実際はその3%程度しか含まれていないということが判明し、大きな問題になったためだ。

そのため、店舗を運営している味千中国ホールディングスの株価は一時は高値から40%くらい下落した。そのため失われた時価総額は一時は700億円以上にも達した。

また、当局が「虚偽宣伝」の疑いで調査を始めたとも言われている。本件については、当初の味千中国の対応のまずさがリスク管理の観点から指摘されるが、今日ここで述べたいことは、その事ではありません。

味千は、既にご存知のことと思いますが、熊本県に本社のあるラーメン店チェーンで、日本国内では100店舗あまりですが、東南アジアなど海外に積極進出して、中国では500店舗以上を運営しており、中国・香港の店舗運営会社は香港に上場しています。「ガイアの夜明け」などテレビ番組でも成功例として紹介されることが多いので、ご覧になった方も多いと思います。

味千(中国)(正式名称は「味千(中国)控股有限公司」)の業績は、予想ベースで売上が3181.5百万HK$(約320億円)、利益(税前)が716百万HK$(約72億円)です、()今回のスキャンダルで下方修正される可能性が高いと思われます。

実は、この味千(中国)は日本の味千とは資本関係はほとんどありません。味千を運営している重光産業と重光社長の持ち分を含めても5%には達していないそうです。

現在のCEOである潘慰氏が味千の味に惚れ込んで、香港を手始めに中国展開を始めて成功したということで、日本側が積極的に展開したわけではありません。

味千(中国)は日本とライセンス契約を行って、ライセンス料や技術指導料を支払っています。その金額は年間1.5億円程度のようです。

重光産業は売り上げが166000万円(216月)ですので、このライセンス料の影響は決して小さくありません。現在受け取っているライセンス料が大きいのか?小さいのか?その評価は分かれています。

重光社長は、中国で事業を行うことのリスクと、中国側の経営者がやりがいのあるやり方を考えて、現在のようなやり方にした、と言っています。ある意味、中国で事業を行うことのむずかしさをよく理解されているが故の判断だったのかもしれません。重光産業の場合は、自らが積極的に事業展開を行ったというよりも、結果的に、中国事業にかかわることになったという印象ですが、中国で事業を行う場合には、何をどのようにというビジネス・モデルの問題はもちろん重要ですが、事業を行うにあたってのリスクは様々です。

日本では国内市場が縮小しておりますので、何らかの形で海外の成長を取り入れてゆくことを考えていかないと、会社は持ちません。その場合に、どのように海外とかかわってゆくのか?真剣に考えていかなければなりません。

 尚、味千(中国)ですが、最近は、少しずつ客足も戻ってきているようです。味千(中国)からの正式な謝罪が遅れたことが今回の大きな騒ぎにつながったのですが、ファーストフードのお店であるので、濃縮スープは品質・安全のベースになるものという評価の声も聞かれるようになっています。

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