HOME > 日々雑感:よくわからないこと?! > 時事問題 > スイス・フランの賭け:資金供給額の1日平均額はGDPの55%
先に、スイス国立銀行が、1ユーロ=1.20スイス・フラン以下に抑えるために、スイス・フラン売り・ユーロ買い介入の無制限実施を発表している。通常、下落(売り)圧力にさらされる通貨の防衛には十分な外貨準備が必要になるが、問題が通貨の上昇(買い)圧力である場合、そうした制限はなく、無制限に紙幣を刷ることになる。
本日の日経新聞に掲載された記事によれば、当初の量的目標水準(2000億スイス・フラン)を大きく上回る資金を供給している。5~9日の1日平均額は2534億スイス・フラン(22兆円)で、目標より27%も多い。
スイスの経済規模を見ると、GDPが2010年で、5224億ドル(約40兆円)で、国の予算(収入)が1840億ドル(約14兆円)となっており、非常におおざっぱに言ってしまえば、規模は日本の10分の1以下だ。(注)「予算」については各国ごとに基準が異なるが、スイスについてはCIAのWorld Factbookを参照した。
規模的には日本よりかなり小さなスイスが、日量で22兆円を上回るような供給を行っている。これは、GDPの55%にも上る。日本に当てはめてみると大雑把に言うと275兆円にもなる。発表では、市場に放出されるスイス・フランの不胎化は行わないそうなので、対ユーロでのペッグが続けば、将来的に、通貨供給量の増加の影響によってインフレや資産バブルが発生することにもつながりかねない。
今のところ、スイスに追随するような動きは見られないが、他国への影響が懸念される。極端なケースとしては、資本規制などが導入される可能性も否定できない。小国であれば、世界全体への影響は大きくはないが・・・
ご参考→スイス・フランのユーロ連動と投機資金~ジョージ・ソロスにみるヘッジ・ファンド資金の変容
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