野田総理に利用された松下幸之助氏の言葉/日々雑感:よくわからないこと?!

HOME > 日々雑感:よくわからないこと?! > 時事問題 > 野田総理に利用された松下幸之助氏の言葉

野田総理に利用された松下幸之助氏の言葉

13日に野田首相が月刊誌Voice10月号に寄稿した「わが政治哲学」という文章についての印象を記させていただいたが、どうもしっくりこないで何かもやもやしていた。詳細は以下のリンクをご参照ください。→『野田首相、「いま、この時期に東アジア共同体はいらない」論文:主権を放棄した国を、世界は相手にしてくれない』(11/09/13

もやもやしていた理由は、野田総理が文章の中で引用していた松下幸之助氏の「崩れゆく日本」という書物を読んでいなかったためだ。野田総理の文章で中心となる主張は、①増税と②対米従属だった。その「増税」の必要性を説くために松下幸之助氏の文章が使われていたのだ。しっくりこなかったのは、企業経営を神様のような人が、増税ありきのような発言を本当に行っていたかどうか確信が持てなかったためだ。そこでさっそく取り寄せて内容を確認してみた。

松下幸之助氏の危機感は、政治・経済・社会・教育などすべての分野に及ぶ。つまりタイトルのとおりに、まさに「日本崩壊」を心配していたのだ。当時(1974年)と現在では経済状況は全く異なるので、詳細はここでは記さないが、訴えていたのは「あらゆる分野において抜本的な改革がなされなければならない」ということで、その為に「国民共同の力によってこれをふせぐための道を考えていきたい」ということだった。ただ単に財政のことを心配していたわけではなかった、ということだ。

野田総理には、同書の最後にある「筆をおくにあたって」の中で松下幸之助氏が非常に疑問を感じていたという以下の3点を記させていただきたい。(中でも特に②及び③)①コンピュータの導入で非常に好ましい状況になるはずなのに、現実はむしろ悪化しているようだがなぜか?②日本の国家予算についての疑問だが、戦前に比べれば、文明の利器も発達し、交通でも通信でもずっと便利になってきている。それらを利用すれば、戦前よりはるかに効率的な政治、行政が出来ると思うが、何故、賃金や物価に比べて、国費だけが突出して増えたのか?③したがって、税金も国費が増えた分だけ、たくさんとっているのだが、本当にそれだけ税金がいるのか?戦前は、納税者もはるかに少なく、税率も低かった。国家の活動が以前に比べて必ずしも活発というわけではないのに、なぜ、そんなに国費や税金がいるのか?(下線は筆者)

松下幸之助氏は自身でも言っているが経済人だ。政府や政府関係機関などの効率化が十分でないと言って、民間の経営を公的分野にも導入すべきという発言も同様にしている。その経済人の目からすれば、前記の②及び③のように公的部門の非効率性が目につき、税金や国費の巨大さが気になっていたようだ。

野田総理は、松下幸之助氏の言葉を利用して、国民に増税を迫ったが、松下幸之助氏は、むしろ逆に、政治・行政の非効率性に疑問を感じていた「のだ」「のだ」!!

< 福島の汚染土、最大1億m3に・・・しかしこの前提は年間で約9mSv・・・1mSvだとどれだけの広さになる?  |  一覧へ戻る  |  池田整治著『原発と陰謀』:自らの頭で考える >

このページのトップへ