HOME > 日々雑感:よくわからないこと?! > 時事問題 > 玄葉外相が中国に農産物の輸入規制緩和を要請:ただのパフォーマンスか?
玄葉外相が、中国の楊外相と会談し、福島第1原発事故に関し、地元の風評被害の実態を説明した上で、農作物輸入規制の緩和・撤廃を要請したという。玄葉外相が要請したのは、東日本10都県の農作物、食品、飼料が対象という。しかし、よくわからない・・・これでは、もともと、輸出していたものが、原発事故が起こって、中国が規制をかけて輸出できなくなったような印象を受ける。しかし、原発事故に関係なく、日本から中国への農産物の輸出には、中国側の規制があり、現状ではリンゴとナシ、それに少量の米しか輸出は認められていなかった。そのような状況に、原発事故が生じたわけだが、規制の緩和・撤廃とは具体的に何を要請したのだろうか?リンゴとナシをもっと輸入しろと迫ったのだろうか?http://www.jiji.com/jc/c?g=pol&k=2011092300056
そもそも、国内の市場が縮小する中で、農業関係者の中国市場に対する期待は非常に大きかったが、日本政府の対応は鈍かった。コメに関しても、全農などの介入で、中国への輸出の枠はあってもないに等しいものだった。加工品についても同様だが、政府が課す関税が高いために、製造コストが跳ね上がって、結局、輸出ということでは競争力が落ちて、加工品の輸入が増える中で、輸出は極端に少ないのが現状だ。
原発事故に関係なく、また東日本に限らず、日本の品質の良い農産物を輸出できるように、もっと積極的に中国はじめ海外の国々には働きかけてこなければいけなかった。中国からの観光客は、昨年と比べるとと激減している。その原因は、今までの日本政府の原発事故についての情報の信頼性が地に落ちていることにある。国民でさえ食の問題では不安を抱えているのに、ましてや事情の分からない海外の国に「安全・安心」と言ったところで信頼されるだろうか?しかし、日本の農産物の輸出については積極的に働きかけなければならないし、そのためには相互の関税撤廃なども検討すべきだ。
(補足)日本の農業は、構造的に存亡の危機にあり、TPPの問題が取りざたされるが、このままでは、TPPに入ろうが・入るまいが、それに関係なく日本の農業は絶滅する。
< 【Crossroad誌:掲載記事】『金曜日の装い』(大久保如彌)(2011年9月号) | 一覧へ戻る | 野田首相の国連演説は何の為?:もう少ししっかりとした議論を・・・ >