HOME > 日々雑感:よくわからないこと?! > 時事問題 > バーグステン発言「ドル安は良いことだ」は米国の本音
9月1日の朝日新聞に「ドル安は良いことだ」というフレッド・バーグステン氏のインタビュー記事が掲載されていた。
書店に行けば「ドル基軸通貨体制崩壊」といったタイトルがたくさん並んでおり、「ざまみろ、いい気味だ」といったようなニュアンスを言外に感じることが多いが、しかし、現実は全く逆で、米国の本音はやはり「ドル安政策」です。しかし、米国の政府要人からは「ドル安」発言が出てくることは通常ありません。これは、急激なドル安が進んで、米国への資金流入が止まると困るからで、本音ではありません。
1971年のニクソン・ショック以来、50%を超える円高局面は、70年代、80年代、90年代と3回あった。為替が高くなったのは、日本だけでなくドイツも同様だで、ドイツも日本と同じように、米国に対して国際収支が大きく黒字になっていた。為替が米ドルに対して大きく上昇することで、国際収支がどのように変化したかといえば、米国の期待に反して、国際収支のポジションはほとんど変化がなかった。つまり、為替の調整では国際収支の調整は出来ないということを、私たちは学んだはずでした。
しかし、バーグステン氏は、このところ、米国が基軸通貨国として責任を負うのは荷が重いとして、ドル安への裕度委へ口先介入を図っている。かつての日本とドイツに対するのと同じように、ここ数年は中国に対しても、元を大きく切り上げるべきだと発言を行っています。
しかし、中国は日本の経験を非常によく研究しており、それを反面教師として、日本と同じような政策はとらないだろう。為替についても、方向としては、元を切り上げてゆくだろうが、非常に慎重に、ゆっくりと対応しており、その国際化についても戦略的に対応している。日本は口では国際化ということを言っていたが、積極的にそして戦略的に取り組もうとは決してしなかった。つまり、常に米国の陰に隠れていたし、その前を歩こうとはしなかった。ドル・ユーロ・円の3極体制ということも言われたが、ある意味ジョークで終わってしまった。バーグステン氏は、将来の通貨体制の姿として、ドル・ユーロ・元の3極体制あるいはドル・元の2極体制ということを言っています。
さて、米国ですが、問題は国際収支の赤字なのですが、為替では改善できないのは明らかで、米国はそれを無視して、改善しようともしてきませんでした。これを改善するには、「借金して良い暮らしをする」というような生活そのものを変えていかなければならないでしょう。リーマン・ショック以降、“マイナス”とも言われた貯蓄率が大きく改善していますが、最近は、このところ減少していたクレジット・カードの与信が増加する兆しが見えるなど、米国人がその生活様式を変えるのはかなり大変なようです。そうすると、しばらくは円高が続き、また米国のファイナンスに日本が協力しなけえればならないということになってしまいます。つまり、「お金を貸した方が悪い」という状態が今後も続くということのようです。
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