2011年10月/日々雑感:よくわからないこと?!

2011年10月

TPP交渉への参加への理解求める:「食料自給率を向上させ、農林漁業を再生させる」のウソ

古川元久国家戦略担当相が29日に青森県外ケ浜町の農業法人を視察後に記者団に対し、環太平洋連携協定(TPP)の交渉参加問題について「貿易立国である日本にとって、高いレベルの経済連携は推進しなければいけない」とした。一方で「食料自給率を向上させ、農林漁業を再生させることもやらなければならない」と述べた、という。

http://sankei.jp.msn.com/politics/news/111029/plc11102922430007-n1.htm

今まで、「日本の食糧需給率が低い」ということが盛んに喧伝され、農業保護の重要性が強調されてきた。政府がよく使うのが、総合食料自給率「39%」という数字だ。しかし、これはカロリーベースで数値で、生産額ベースの数値で見ると69%となりほぼ7割が自給できていることになる。更にいえば、このカロリーベースの数値は供給ベースではなく、摂取ベースであることから、供給ベースで見れば10%程度上がるのではないかと言われている。

生産額ベースでみると、野菜や果物はほぼ80%、魚介類は50%程度自給できている、しかし、カロリーベースでは野菜などはほとんど計算に入らない。野菜はビタミンなどは豊富だが、カロリーがほとんどないからだ。 

コメなどは作りすぎで、これだけ減反をやってもまだ毎年余剰米が発生している。また、耕作放棄地が埼玉県の総面積よりも広いことなどを考えれば、贅沢をしなければ十分時給は可能で、政府が騒ぐような状況ではない。

いままでは、自給率が低いということで危機感をあおって、農業者及びその関連事業に多額の補助金を流してきたのだ。

農林漁業を再生させることは極めて重要な政策課題だが、「食糧自給率を向上させる」ということはそもそもからウソだ。また、現在のような「戸別所得補償制度」は農林漁業を再生させるためには全く役に立たない。(現在の制度がダメという意味で、戸別所得補償そのものを否定するものではない)

外債購入50兆円、円高対策基金を: ちぐはぐな円高対策

政府が28日開いた国家戦略会議(議長・野田佳彦首相)で、民間議員の岩田一政日本経済研究センター理事長が、政府・日銀が海外の国債を購入できる50兆円規模の基金を創設すべきだと提言した。外債購入に伴う円売りで過度な円高を防ぐとともに、財政不安に直面する欧州の国債を買い支え、市場の安定につながるとした。http://www.nikkei.com/news/category/article/g=96958A9C93819481E0EAE2E0878DE0EAE3E2E0E2E3E39797E0E2E2E2;av=ALL

よくわからないのだが、外為特会というものがありながら、なぜまたここで新しい基金を作らなければならないのだろうか?また、外債を購入することで、円高の流れを変えることが出来るのだろうか?また、円高を阻止したいのか?あるいは(欧州の国債を買うことによる)市場の安定が目的なのか?よくわからない。

外為特会を通じての市場介入の効果が全くないことはすでに明らかになっている。そしてまた、現在のようにじりじりと円高になるようなケースでは、「過度な変動」ということにもならず、市場介入に対する他国の理解は得られないだろう。だから、全く別の器を作って、外債購入をやろうというのだろうか?さらにわからないのは、(a)ただ単に外債を購入することで円高を阻止できるのか?(今までの市場介入は機能していないが…)(b)50兆円だけで足りるのか?(c)為替損が出たらどうするのか?(外為特会は既に40兆円余りの含み損を抱えている)(d)資金はどうやって調達するのか?(外為特会は市場から調達している(要は謝金で賄っている))これから更に国の謝金を50兆円増やすのか?

また、先に政府が発表している円高対策にも疑問を持つことがある。日本企業に資金を融資して、海外企業のM&Aを支援するという対策が発表されている。しかし、これだと、日本企業が海外での生産ないしは事業活動をますます加速化することにならないだろうか?そうすると国内の雇用はますます失われることになり、何のための円高対策なのかよくわからなくなる。そもそも「円高対策」とは国内の雇用を守るということが目的でなかったか?

政府の円高対策とは全く持ってちぐはぐだ。

 

小学校の牛乳から微量の放射性物質:「ブレンド」で隠すのではなく、しっかりと情報公開を

武蔵野市の8小学校で出された給食の牛乳から微量の放射性物質が検出されたという。微量だからということで簡単に問題なしとすることができるのだろうか?http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/110409/dst11040900040000-n1.htm

このことにはもっと重大な問題が隠されている。牛乳(原乳)の放射性物質の検査では、他の市町村の原乳と混ぜて検査することが行われているからだ。http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/110409/dst11040900040000-n1.htm

これは上記記事にあるように、事故直後の3月末から一般的に行われている。公表もされているのだが、マスコミなどもあまり大きな問題としては取り上げていない。これでは、高濃度の放射性物質が仮に含まれている原乳があったとしても、全体で薄められてしまって、問題のない製品として出荷されてしまう可能性がある。

他の食料品、例えば野菜でも、屁理屈をこねれば、生食用でなく、最初から加工用ということで、他の産地の物と混ぜて加工して出荷してしまえ、という動きが出て来てもおかしくない。

また、これは瓦礫処理でも同じことが言える。日本政府は、1キロあたり8000ベクレルまでの汚染の瓦礫などの焼却処理を認めている。この8000ベクレルという数値自体も問題だが、さらに問題なのは、日本政府は高濃度汚染されたものを汚染のないものと混ぜて汚染レベルを落とすことを許可していることだ。これは、上記の原乳を混ぜて出荷するのと全く同じ発想だ。これだと、8000ベクレルという数値自体が全く意味のないものになってしまう。放射性物質は焼却してもなくなるものではないので、日本政府の高濃度汚染廃棄物の焼却許可により、大気中に放射性物質が放出・拡散されることになる。これでは、放射性物質を更に広い地域に拡散させることになってしまう。これでは、除染の意味もなくなってしまう。

「安全・安心」と言いたいがために、情報を隠したり、わからないようにするのではなく、全てを明らかにして、どうしたらよいかを議論していかなければならないのでは?

ギリシャ問題における民間銀行の責任は?:金融システムの改革が必要なのでは?

欧州連合(EU)は約10時間にも及ぶマラソン交渉のすえ、欧州債務危機の「包括戦略」を取りまとめた。激しい議論の末、民間の負担をどのくらいにするかで最後までもめたのだが、結局、50%とすることで合意したのだ。EU・国際通貨基金(IMF)の報告書によれば、第2次支援で民間が60%負担するとEUIMFの負担増はほとんどない。今回合意した民間負担50%だとEUIMFも負担がある程度増える見通しで「痛み分け」の結果といえる。「もし民間側が自発的に同意しないのであれば、ギリシャが債務不履行(無秩序なデフォルト)に陥るシナリオに反対しない」というメルケル独首相の発言が「最後通牒」になったという。http://www.nikkei.com/news/headline/archive/article/g=96958A9C9381E2E2E3E2E2E3E18DE0E5E3E2E0E2E3E39C9CEAE2E2E2

とりあえず、今回の「包括戦略」によってギリシャ及びユーロの問題は当面の時間稼ぎができたようだ。米国の株式市場は、7~9月期のGDP値の発表の影響もあり、終値で前日比339ドル51セント(2.9%)高の1万2208ドル55セントと、約3カ月ぶりの水準を回復している。

ギリシャの問題だが、もともとは何年にもわたって同国が財政管理をしっかり行ってこず、また、国の競争力を高めることが出来ない中で、財政赤字を膨らませてきた結果であることは間違いない。しかし、今回の交渉過程で、民間側は負担を追うことにかなり抵抗したのだが、民間側には何も責任がないのだろうか?

ギリシャのケースでは、ゴールドマンサックスが同国の公的債務の数値を見かけ上引き下げる行為に手を貸して、巨額の報酬を得ていたことが既に報じられている。もちろん、法的に問題があるというわけではないかもしれないが、EU統計局の基準をわかったうえで、それが厳格化される前に取引(「クロス・カレンシー・スワップ」)が行われており、事実上の、「抜け穴」を用意するような行為であったことは間違いないだろう。(ただし、これはギリシャだけでなく、他の国でも行われたことのようだ。)見方はいろいろあるだろうが、極論すると、粉飾決算に手を貸すような行為ともいえる。ゴールドマンサックスの人間が、それがどのように使われるか、公的債務の数値にどのような影響を与えるのか「全く知らなかった」と言い切れるのだろうか?

これは極端な例としても、ギリシャの公的債務が膨らんでいたことは民間銀行側も当然わかっていながら、資金を提供し続けていたのであるから、今回の危機に際して、何も責任がないということがあるのだろうか?

今回のギリシャ危機でも、結局はギリシャというよりも、民間の銀行の問題に行き着く。民間銀行の資本の積み増しなども決まったのだが、米国に端を発したサブプライムローン問題以降、世界の銀行には、巨額の公的資金が投入された。公的資金というのはとりもなおさず国民の「税金」だ。『国家対巨大銀行』(サイモン・ジョンソン/ジェームズ・クワック共著)に詳しいが、今までにこれだけ多くの資金が、1つの産業に注入されたことはあるのだろうか?しかも、民間銀行は、この20年以上にわたって、規制改革を求めてきて、政府による規制や監督は無いほうが良いのだ、と主張し続けてきたのだ。

サブプライムローン問題以降の金融危機はまだ終息したわけではないが、救済され、生き残った銀行はさらに大きくなって、以前のように収益を上げるようになっている。しかし、金融危機を引き起こした責任を取った経営者は誰もいないし、金融システムそのものも何も変わっていない。

このままでは、儲けたお金はすべて民間銀行(その社員)が手にして、損はすべて国民の税金ということになってしまう。最後は、国(国民)が尻拭いしてくれるとわかっていれば、銀行はどんどんリスクを取って利益追求にまい進するばかりだろう。金融システムの改革が必要なのではないか?

「汚染水を飲む」と口走った園田内閣府政務官:それほど安全なら国会と中央省庁は福島に移転してもらいましょう

園田内閣府政務官が記者会見で「汚染水を飲む」と口走ったそうだ。過去に東電が福島原発56号機内の低濃度汚染の滞留水を敷地内で散水する計画を示したことに対し、記者側から「本当に低濃度なのか」という疑問の声が上がり、やりとりの中で、「必要とあらばパフォーマンスではなく対応したい」「取り寄せて、この場で飲んでもいい」とタンカを切ってみせた、というのだ。

http://gendai.net/articles/view/syakai/133221

記者の挑発に乗せられたという側面はあるかもしれないが、原発事故発生以来、政府は安全・安心を繰り返してきたのだから、そのような発言が出ても本来ならばおかしくはない。

最近も、冷温停止に目途がついたということを発表したり、1号機の非常用復水器の損傷確認されなかったということを発表して、しきりに安全・安心をアピールしようとしている。そのため、新聞やテレビだけ見ていると、報道そのものが減ってきていることもあるし、その報道の楽観的な内容に驚かされる。

しかし、冷温停止といっても、既にメルトスルーしてしまっているのだから、そもそも冷温停止という言葉を使うことすらおかしいはずだ。

それほど安全・安心をアピールしたいのであれば、国会と中央省庁を福島に移転させてはどうか?復興後の公共工事を生み出すことにもなるし、福島での需要創出効果は大きいはずだ。

また、物価は現在では東京よりも安いはずなので、公務員の給与は、民主党が約束したように2割カットも可能になるだろう。そうすれば、今後10年間で給与の2割カットで10兆円を削減することが出来、それだけで復興に必要だとされる資金の90%程度は確保されるので、増税も必要なくなってしまう。

「パンドラの箱」というタイトルの田坂氏の講演:信頼の回復に必要なものは?

Youtubeに田坂広志・前内閣官房参与の日本記者クラブでの講演が掲載されています。「パンドラの箱」というタイトルで、福島第一原発事故を受けて、今後何が問題になるのか、そして解決のために何が必要なのか?ということを話したものです。http://www.youtube.com/watch?v=bMRD3p2nuuI&feature=player_embedded

前菅内閣時代の内閣官房参与ということで、実際に事故対応にも関与していた人だけに、話の内容はよくまとまっているし、現在の問題点の整理としては、非常にわかりやすいものだった。現在の根拠なき楽観論を戒めるとともに、今後は高濃度放射性物質の処理の問題が避けられないとして、それらを解決していくためには、政府・行政が国民から信頼を得なければならないというものです。

1時間余りのものだが、興味のある方は是非ご覧いただきたい。

今後の対応(福島第一原発だけでなく原子力行政全般)で、必要な事として、「安全・安心」はもちろんだが「信頼」が重要、というのは全く同感だ。

しかし、私個人として違和感を覚えたのは、政府と行政に対する信頼が失われたのが、原発事故が起きてしまったため、としていることだ。私個人としては、事故が起きてしまったことは10000歩下がって認める(時間を戻すことは出来ないという意味で)としても、事故後の対応(今現在も含めて)自体が問題だと考えているので、前菅内閣が行った事故後の対応が適切であったかのようなことを平気で言われること自体に違和感を感じざるを得ない。

実際に、同じ内閣官房参与だった小佐古氏は政府対応の問題を指摘して辞任をしている。ここで田坂氏を批判しても意味はないし、田坂氏が言っている「現在の根拠なき楽観が問題」という指摘は全くその通りだと思う。ただそこに、事故後の政府・行政の対応が、国民のイノチを守るという観点からはかなりずれたものであったのではないか?という反省も今後の対応としては重要ではないかと個人的には思うのですが、如何なものでしょうか?それこそがまさに田坂氏の言う「信頼」の回復につながるのではないかと思います。

野田首相が「日本取り巻く安保環境は不透明さ増している」:米国のシナリオに乗っていて大丈夫か?

野田首相が、16日に開催された航空観閲式で、中国の軍事力増強と北朝鮮による度重なる軍事行動は日本の安全保障にとって大きな脅威になっているとの認識を示し、防衛問題でタカ派的として知られる自らの立場を改めて鮮明にした、という。 http://jp.wsj.com/Japan/Politics/node_325836

その結果として、「日米安全保障同盟の重要性は不変」ということを強調している。

今年の防衛白書も、かつての冷戦時代のソ連を想定としていたものを、新たに中国を仮想敵国として、シーレーン防衛にシフトしている。先月には、南シナ海の島嶼における領有権問題に日本が介入しようとしているとして、中国が日本をけん制する動きを見せた。日本は、直接的に同問題に介入するような発言はしていないが、オバマ・野田会談の中で議論されたことが米国からリークされている(日本からは具体的に言及されてはいないが)。

野田政権になってからの政策は対米従属一辺倒になっている。昨日書いた「米国産牛肉の輸入緩和」にしても、野田首相は、国民の健康問題はそっちのけで、米国との関係を重視するために行うということをはっきりと言っている。国民そっちのけにしてでも、米国との関係が重要とはいったい何なんだろうか?(昨日のブログは以下をご覧ください→「米国産牛の輸入制限緩和へ:国民よりも米国との関係の方が優先なのか?」) 

本日の日経新聞のグローバルオピニオンではドナルド・ラムズフェルドが寄稿している。「21世紀の今日、国際社会が抱える問題を1国だけでは解決できない。・・・多国間での協力は不可欠だ。その「協力」は同じような考え方を持つ国同士によるものが基本」としており、「中国が示している拡張主義的なもの」というように、中国をラムズフェルドが言う「連合体」には含めておらず、「連合体」とは相反するものとしている。日本はその「連合体」の重要な一員として「その軍事力と経済力、外交を組み合わせれば、もっと重要な位置づけをされる」として、特に「軍事力」を強調している。

現在の民主党の閣僚は、まさにラムズフェルドが言っていること、つまり米国の描いたシナリオを忠実に実行しているようにしか思えない。そのような中で、野田首相や玄場外相の訪中の日程調整が中国との間で行われているようだが、米国の言いなりになって、中国側をむやみに刺激しておきながら、訪中とは・・・

前原氏「農業予算つける」TPPにも改めて意欲:もう無駄なバラマキはやめてくれ

民主党の前原政調会長が15日、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)締結交渉への参加をめぐり、農業保護のための反対論が根強いことを念頭に「自由貿易に入ろうが入るまいが、日本の農業は今のままではダメ」「自民党政権の農業政策を見直し、予算をつけて努力していく」と述べ、農業振興施策に予算を重点配分する考えを表明した、とのこと。http://sankei.jp.msn.com/politics/news/111015/stt11101521180003-n1.htm

「日本の農業は今のままではダメ」というのは全くその通りだが、「予算を付けて努力していく」というのは具体的に何をやっていくのだろうか?民主党になって、農家への戸別所得補償制度を導入したが、これた単なるバラマキで終わっている。この戸別所得補償制度を、小澤氏が言い出した時には、全く違う内容だった。小澤氏は、当初、戸別所得補償制度とTPPを結び付けて提案をしていた。つまり、TPPに参加して、関税をゼロにする。そして、また、減反政策も廃止する。それによって、コメの価格は下がるはずだ。すると影響を受ける農家(特に、農協が組織化している小規模農家)は、効率化を進めざるを得なくなる。これで、「家庭菜園の延長のような農家」はどんどん脱落していくことになる。

しかし、本気で農業に取り組もうという農家(主として大規模農家)に対しては、生産コストと販売額の差額を保障しようというものだった、はずだ。これは、海外でも行われていることだ。しかし、このアイデアは民主党の中で換骨奪胎されていった。

前原氏は「自民党政権の農業政策を見直し」とも言っているが、今や、民主党の農業政策は自民党が提案していた制度よりもバラマキ色が強くなってしまっている。ただでさえ予算がなく、増税路線を突っ走っているのにもかかわらず、新たな利権づくりの為に、これ以上の無駄なバラマキはやめてほしい。

米国産牛の輸入制限緩和へ:国民よりも米国との関係の方が優先なのか?

政府は、BSE問題を受けて2003年から実施している米国産牛肉の輸入規制について、来年前半にも緩和する方針を固めた、とのこと。http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20111015-OYT1T01101.htm

現在、「月齢20か月以下」の若い米国産牛の肉に限って輸入している制限を「30か月以下」まで緩和する方向で、野田首相が、11月に行われる見通しの日米首脳会談で、オバマ大統領に緩和を表明する方向、とのこと。

問題は、その理由だ。それは、米国の要望が強いことにや、東京電力福島第一原子力発電所事故を受けた日本の農産品に対する風評被害の除去を各国に訴えるためにも必要だ、と判断したためだという。

国民の健康のためということで、これだけ長い期間にわたって行ってきていることを、それを全く無視して、いきなり米国の要望云々とはどういうことだろうか?日米首脳会談のお土産としても必要ということだろうか?

尚、この問題は、ちょうど1年前に当時の前原外相がクリントン国務長官に約束したことでもある。

 

安住財務相が消費税5%上げを国際公約:国際会議での無責任な発言はもうやめてくれ

安住財務相がG20で消費税を5%引き上げるための関連法案を来年の通常国会に提出すると説明し、日本の財政健全化の取り組みに理解を求め、また、増税と同時に社会保障費の抑制を進め、基礎的財政収支の赤字を2015年度に10年度比で半減、20年度に黒字化することも併せて表明した、とのこと。 http://www.nikkei.com/news/headline/article/g=96958A9C93819481E3E7E2E3958DE3E7E3E2E0E2E3E39F9FEAE2E2E2

消費税の増税をめぐっては、景気への悪影響などを理由に与党の民主党内にも反対論がなお残る。国内での議論をそっちのけにして、安住財務相がG20という国際会議で、期限を示して消費税の増税を国際公約したことで、今後の国内の議論に影響を与えるだろう。早速だが、自民党の石原幹事長が、安住財務相の発言を批判したうえで、来年の通常国会で衆議院の解散・総選挙に追い込みたいという考えを表明している。

石原氏の発言も当然だ。民主党の閣僚は、国内での議論をすることなく、国際会議で勝手な公約を繰り返している。民主党政権が誕生してすぐの鳩山元総理のCO2削減目標に始まり、菅前総理の太陽光発電、野田総理の原発関連発言、と数えればきりがない。国際会議ではないが、米国との米軍基地移設問題や普天間問題をめぐるやり取りも同様だ。

しかも、国際会議での公約であるので、結果的に、それらがどれだけ日本の信用を貶めることになるのか、ということを考えないのだろうか?

ただ、単に、政権の閣僚が、国際会議で、その場をつくろったり、いいかっこをするがために、日本の信用を貶めることだけはもうやめてほしい。

安住財務相がG20で「不良債権の教訓」説明:日本の国民の前でもしっかりと説明と謝罪を

安住淳財務相が、20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議で、不良債権処理に手間取った日本の「教訓」を踏まえ、欧州は「大きなスキーム」で金融機関の支援を進めるべきとの考えを表明することを明らかにした、という。http://jp.reuters.com/article/businessNews/idJPJAPAN-23625320111014

これは、日本で不良債権処理を行った際に「過少な見積りが解決を遅らせた苦い経験がある」というもので、かつて、麻生氏も国際会議で同様の発言をしたこともあるのだが、ある意味、日本の政府及び財務省・日本銀行の誤りを認めたものだ。

欧州の金融当局者に上から目線でもの申すようで、先方からすれば非常に不愉快な発言だろう。というのも、日本の金融問題がすべて解決しているわけではなく(既に失われた20年となっており、このままでは30年となってしまう)、個々の金融機関もさることながら、国の債務残高などを見れば、はるかに欧州の方が状況は良い。また、今回問題となっている銀行の厳格査定の問題も、日本の銀行が厳格に査定されているかどうか、今現在でも、疑わしい。

既に失われた20年という状況なのだが、この元凶となったのが、安住財務相が認めた「不良債権の教訓」であるとすれば、日本の国民にもしっかりと日本の金融当局者の誤りを説明及び謝罪をすべきだろう。

また、日本の銀行について言えば、かつてと中身はまるで変っていない。それは、この20年の間に「大きくて潰せない」という考えを、植え付けてしまったためだ。もうけはすべて自分たちのものにして、後始末は国民に押し付けるということが、続いている。日本の銀行は90年代中頃からほとんど税金を払っていない。2012年度から納税を開始するというニュースが今年に入ってから出ていたのだが、ここにきての金融危機の影響などで、また遅れるかもしれない。

通常、経営が厳しくなれば、従業員の削減や給与・賞与の削減、先のルネサスのように、などが行われるのだが、銀行員の給与が大きく減ったということなど聞いたことがない。

日本の金融当局者が、本当に、「不良債権の教訓」ということを認識しているのであれば、日本の金融機関をどのようにするのかということを本気になって考えてもらいたい。

【Crossroad誌:掲載記事】『○○ごっこ』(Make-Believe Play)(熊澤未来子)(2011年10月号)

日本語と中国語のバイリンガル・マガジン『Crossroad誌』10月号に以下の記事が巻頭エッセーとして掲載されましたのでご紹介させていただきます。

毎月このような形で同誌の『巻頭エッセー』として、日本の若手アーティストを紹介する記事を書かせていただいております。同誌は、中国の華南地方(主として 広東省と香港)を中心に、ビジネス情報を主体としてはいますが、文化や芸術等様々な情報を発信している雑誌です。編集部は、現在夏季ユニバーシアードが開 催されている広東省・深圳市にあります。

今回は「熊澤未来子」さんの「○○ごっこ」(Make-Believe Play)という作品です。

現在、熊澤さんの展示会が以下の場所で開催中ですので、ご興味のある方はぜひご覧ください。

熊澤未来子展「27」(第一生命ギャラリー)http://mizuma-art.co.jp/new/1317129362.php

熊澤未来子展(gFAL/FALhttp://www.musabi.ac.jp/topics/exhibition/gfal/

熊澤 未来子(Mikiko Kumazawa

作品タイトル

『○○ごっこ』(Make-Believe Play

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コメント

高層ビルに多くの人がよじ登っている。ビルによじ登っているものは、それぞれ銃などの武器を持って殺し合っているようだ。ビルの下の方では、男の死体も見られる。遠くの方では、高層ビルの上に、少し小さなビルを積み重ねようとしている人たちがいる。逃げようと、高層ビルから他のビルに飛び移ろうとする男、またその男を捕まえようと追いかける男。登場人物はいずれも真剣そのもので、『○○ごっこ』というタイトルのイメージとは正反対だ。

全体としては非現実的な世界が描かれているようなのだが、部分部分は非常に細かい書き込みがされている。登場する人物も高層ビルもそれぞれモデルがあるのかもしれない。そのように考えると、左側の男がよじ登っているのはニューヨークのクライスラー・ビルのようにも見えてくる。それぞれの登場人物が非常の細かく書き込まれ、それらにはどれも非現実的なストーリーが与えられているようなのだが、それらが集められることで、妙な事だが、より現実に近い、あるいはより現実ではないかと思わせるような世界が出来上がっている。

満員電車で、前に立っていた男に足を踏まれ、詫びの一言も言わない男に、突然、殴りかかりたいような衝動に駆られたことがある。普通の人は、もちろん、それは想像だけの世界で終わるが、都市生活にはそのような人々のどうしようもない衝動や、あるいは欲望があふれている。作者は、現代社会に生きる人々の衝動や欲望を、あえて非現実的にデフォルメした形で描くことで、現実に迫ろうとしているかのようだ。

略歴

1983   愛知県生まれ

2008   武蔵野美術大学大学院美術専攻日本画コース終了

主な個展:

2008   Paranoid World」 (Gallery Art Composition、東京)

2009   「第1回世田谷区芸術アワード“飛翔”受賞発表 熊澤未来子作品展」 (世田谷美術館区民ギャラリー、東京)

2010   「熊澤未来子展」 (ミヅマ・アクション、東京)

2011  27」 (第一生命ギャラリー、東京) 103日(月)-1110日(木)開催予定)

             「熊澤未来子展」 (gFAL、東京) (108()-1112()開催予定)

受賞歴:

2008   「カウパレード東京m丸の内2006」入選

2008   「武蔵野美術大学大学院修了制作」優秀賞

              「第7回菅楯彦大賞展」(倉吉博物館)佳作

      「世田谷区芸術アワード“飛翔”2008

2011   「第14回岡本太郎記念現代芸術大賞」入選

      「VOCA2011」佳作

中国温州で金融危機が急速に拡大:今度はそれを逆手に金融特区・規制緩和・撤廃を要求:日本と中国・・・どちらが社会主義の国か?

中国の温州で民間貸出の資金ショートが続発して、信用保証会社や銀行を巻き込んだ倒産の連鎖が深刻化している、という。http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2011&d=1011&f=business_1011_218.shtml

温州と言えば、最近は、温州人による中国国内各地での地上げが問題になってきた。

温州人のことを、中国人は、中国のユダヤ人といってきた。かつて、毛沢東は、温州人のことを、一番嫌いだった。どれだけ毛沢東が吹き込んでも、聞いたふりだけして、全く理解しようとしなかったからだ。実は、自分でものを作ればよいという考えをする人たちで、そのため自営業者が一番多かった。また、リスクをとるということが出来る人たちでもあった。その人たちが、最近は、中国全土の株や不動産の地上げのご指南役になってしまった。それでも、昔からのものづくりに励む人たちも多くいたのだが、それらの会社で資金ショートが続発し、企業の資金繰り悪化で社長の逃亡や自殺が相次ぎ、信用保証会社や銀行を巻き込んだ倒産の連鎖が深刻化している、というのだ。

中国国内では、金融引き締めが行われる中で、民間企業へ貸出が減少し、資金繰りの為に高利の闇金融に手を出す会社が多くなってきて問題となっている。全体の貸出額をそれほど大きく絞っているわけではないのだが、国有企業に優先的に資金を回すために、民間企業への資金が限られてしまうのだ。

しかし、毛沢東が嫌い、中国のユダヤ人と言われる温州人だけあって、ここへきて「転んでもただでは起きない」という動きが出てきた。「金融危機を逆手に金融特区構想」を国に申請するというのだ。規制を緩和・撤廃することで、サービス業への資金投資を促したり、民営中小金融機関の市場参入を大幅に認め、企業に多様な資金調達ルートを準備する、というものだ。http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2011&d=1013&f=business_1013_018.shtml

大震災が起こっても従来からの利権維持に汲々としている日本の政治家・官僚と比べて、なんと中国の動きの速いことか!!

明治維新と戦後の変革と成長を20年余りで達成してしまった中国ならではの動きと一言で片づけてしまうのは簡単だが、考え方がダイナミックで柔軟だ。日本と中国・・・どちらが社会主義の国だかわからないような状況になっている。

米国企業に中国撤退の動き:米国はいよいよ選挙の年に

米国企業に中国撤退の動きが出てきたという。http://j.people.com.cn/94476/7613532.html

これは、「メードインUSA」のコスト的優位性に対する認識が広がり、生産を中国から米国に移す動きが出てきたというものだ。

確かに、中国国内の人件費の高騰などで、以前のように、中国での生産が「とにかく安い」という状況ではなくなってきている。中国企業でも、かつての米国や日本のように、海外に生産拠点を移す動きが出てきている。隣のベトナムもそうだし、バングラデシュやミャンマーなどもその候補地となっている。もともと東南アジアなどでは華人がその経済の中枢を担っていることもあり、中国企業が進出するのは、日本企業などが進出するよりも容易だ。

最近は、フォードが12千人分の雇用をメキシコと中国から米国に移すことを発表した、という。グローバル化が進む中では当然の動きで、それぞれの企業が、その戦略に従って、どこで生産を行うべきかを決定していくので、グローバル化の中では、一律に、中国が良いとか、米国が良いとかと言った、二者択一の動きではない、はずだ。

米国では、オバマ大統領は5年間で輸出を倍増するという計画を発表している。それによって、200万の雇用を創出するとしてきた。また、成長戦略の一環として、再生可能エネルギーの育成が叫ばれたりもしてきた。しかし、これは、最近になって、うまくいっていないことが報じられている。

来年の大統領選挙に向かって、米国はいよいよ政治の年になる。今回のニュースはボストン・コンサルティングの調査に基づくものだが、この調査では、今回の動きによって、米国内で200万から300万の雇用が生まれる見込みだ、としている。オバマ大統領が掲げる200万の雇用創出の数字と図らず一致する。

最近、米議会で対中国為替制裁法案の審議が行われるなど、米国の中国に対する人民元切り上げ圧力が高まっている。法案は成立しないようだが、成立させることが目的ではなく、あくまでも中国に揺さぶりをかけることが目的で行われている可能性が高い。(尚、今回のニュースを人民網が発信していることからして、米国の人民元の切り上げへの圧力を緩和しようという中国政府の意図も考えられる。)

今回のボストン・コンサルティングの調査がそうだとは言わないが、選挙の年に向けて、政権に有利になるような情報を流そうという動きが活発化する可能性が高い。

「米国との関係を考えると(TPPに)参加しないという選択肢はあり得ない・・・」:これが日本のメディアの発想か?

それは1011日のテレビ東京のワールド・ビジネス・サテライトの最後の部分での、小谷キャスターと今週のゲストの日本総研の高橋氏との短い会話だった。

正確に一字一句記憶してはいるわけではないが、内容は「日本はTPPに参加しないという選択肢はあるのか?」ということに関して、「米国との関係を考えると参加しないという選択肢はあり得ない・・・」という会話が、2人の間で交わされた。高橋氏というよりも小谷キャスター主導でそのような会話がなされている。ここまであからさまな発言をテレビで今まで見たことはないと思う。

日本のメディアの報道が、対米従属的な発想を基準にしていることがわかるような会話だった。私個人としては、メディアというのは、常に反体制的なスタンスであるべきなのでは、と思っていることもあり、現在の政・官と一体となった報道姿勢には、非常にがっかりさせられる。

TPPであれば、日本の国益に照らしてどうなのか?ということを情報として発信してほしい。

眞子さまへの勲章授与、閣議で決定:「国家とは何か?」:叙勲制度も見直しが必要なのではないか?

眞子さまへの勲章授与が閣議で決定されたそうだ。http://sankei.jp.msn.com/life/news/111011/imp11101110130001-n1.htm

これは、今月成人されるためで、皇族については通常よりもかなり早く勲章は授与されることになっており、皇太子や皇太孫となれば、満7歳で、大勲位菊花大綬章が授与される。これは内閣総理大臣でもめったに授与されない高位のものだ。

勲章は、現在も、春夏に、文化勲章も含め多くの人々が授与されています。しかし、いつ、どういう目的で始まったのか?等々知らないことが多々あります。また、現在、この勲章制度には、運営する法律がなく、戦後、何度も法制化しようとしたのですが、出来ませんでした。その代わりに、明治時代に作られた「勅令」や「太政官布告」によって運営されているというのですが、なぜこのような事になったのでしょうか?

叙勲は、かつての天皇の臣下に対するごとく、政治家や官僚が高い階等を占め、黙々と働く我々一般の国民には低い階等しか与えられないことなどは、天皇の前に雛壇の格差を作ることだ、という批判があります。また、政治家や公務員はもともと公のために働くのが仕事であって、それで報酬を得ているので、膨大な税金を以て褒賞する必要はない、という主張もかねてからありました。また、職業による評価の差、性による格差もあからさまです。

かつて勲章が授与された人物の叙勲の妥当性が問われることも多々あります。例えば、米国のカーチス・ルメイです。彼は、東京大空襲の指揮官で、1945310日の東京大空襲では、一晩で10万人もの人が亡くなりました。そのルメイに1964年に勲一等旭日大綬章が贈られました。保坂正康氏は「東京大空襲は正しかったと日本政府が公認したと歴史的にはみなされる」と指摘しています。

また、外務事務次官を経験したことを根拠に勲一等瑞宝章を受章した、真珠湾奇襲の際にワシントンの大使館員だった井口貞夫と奥村勝蔵は、対米開戦に際しての不手際から、本来は、だまし討ちとの批判を招いたことに重大な責めを負うべきなのに、何故叙勲されたのか?と疑問が呈せられることも多いようです。

全ての人とは言わないが、多くの人が納得するような制度に変えるべき時が来ているのではないだろうか?

人民元の国際化について中国が余裕の発言:日本政府は事態を全く理解していない

先日の民主・大久保政調副会長の発言(「外貨準備の運用先を新興国通貨などに広げるべき」というもの)に関連して、野田首相の以前の国会答弁が紹介されていた。それは「中国の外貨準備が日本国債を買えるのに、日本の外貨準備では中国国債を買えないことに不自然さを感じる」と述べ、規制見直しを求めたものだった。http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=90900001&sid=a85I0_PKTFcA

それに反応したのかもしれないが、人民網が「人民元の国際化 日本が警戒」という記事を掲載している。http://j.people.com.cn/94476/7613559.html

その記事では、「人民元は、すでに通貨の国際化を判断する「貿易決済、投資、外貨準備」という3つの要素を備えている」。それに対して、「日本は世界でもっとも多くの債務を抱えている。そのため、投資家はいつでも円資産を売れる準備をしている」。「人民元が上昇しドルやユーロに取って代わることはないが、円の影響力を弱め、円を「3大基軸通貨」から押し出す可能性がある」と、余裕の発言を行っている。

記事にあるような日本のメディアが「人民元の国際化に対して日本が警戒している」といった報道を行っているようには見えないし、それどころか、日本のメディアはそのような「事態」を全く理解していないだろう。野田首相や大久保政調副会長も同様だろう。そうでなければ先のようなのんきな発言はしないはずだ。この記事は、中国が自身の力(政治力・経済力そして人民元)に自信を強め、日本を揶揄するようなものだ。

民主党政権が誕生した時に、鳩山氏が「東アジア共同体」構想を発表した。その際に、中国は特段の反応をしなかった。当然、腹の中では嘲笑っていただろう。「何をバカなことを言っている・・・日本にはもうそんな力はない・・・東アジアの中心は日本ではなく、中国なのだ」と。中国は、米国からの圧力を巧みにかわして、急激な元高をさけながらも、着々と人民元の国際化を図っている。(関連情報は次のリンクをご覧ください→「元の国際化を着実に進める中国と、あえて円の国際化をしようとしなかった日本」)次回のSDRの見直しでは、まず間違いなく人民元がSDRの構成通貨となるだろう。また、IMFの副専務理事(事実上のNo.2)は既に中国人だ。

鳩山氏は、東アジア共同体構想のなかで、EUROのような共通通貨もあげていたが、EUROのような基準を設けるとすれば、日本のように巨額の債務を抱える国、また成長率がこれほど低い国、は構成国からはじき出されてしまうだろう。日本人の意識は20年前のままで、いまや世界の姿は大きく変わっている。日本を本来リードすべき政治家の理解は、残念ながら、さらにひどい。

ご参考までに、人民網の記事を以下添付します:

「人民元の国際化 日本が警戒」

日本メディアはこのほど、人民元の国際化の動きを次々と報じている。報道によると、人民元建て貿易決済は拡張し続け、ますます多くの周辺国が人民元で決済するようになっている。米ドルが低下し続けているため、人民元建て決済に対する安心感が高まった。また、イギリスは人民元のオフショア市場を創設し、シンガポールも創設を計画するなど、人民元のオフショア取引が活発に行われるようになっている。さらに、欧州債務危機と米国の量的緩和策により、多くの国が人民元を政府の外貨準備通貨の一つと見るようになった。人民元は、すでに通貨の国際化を判断する「貿易決済、投資、外貨準備」という3つの要素を備えている。

報道は、人民元が急速に国際化しているのは、中国に巨額の外貨準備があるためだと見ている。中国の外貨準備高は32000億ドルに達し、世界の外貨準備高の30%を占める。これが多くの人が人民元を買い増しする主な理由である。また、各主要通貨の動きはいまいちで、ドルの乱発と持続的な低下、ユーロ圏の債務危機も理由の一つだ。円は上がっているが、「上げられた」と言うべきで、日本は世界でもっとも多くの債務を抱えている。そのため、投資家はいつでも円資産を売れる準備をしている。

日本の政府関係者が人民元の急速な国際化について公の場で発言したことはないが、財務省のある幹部は個人的に「日本政府は人民元の国際化の動きとその円の地位に及ぼす影響に非常に注目している」と述べた。日本の学者と専門家は、人民元が上昇しドルやユーロに取って代わることはないが、円の影響力を弱め、円を「3大基軸通貨」から押し出す可能性があると見ている。世界では、ドル、ユーロ、元の協力メカニズムを構築し、国際通貨と金融体制を安定させるという構想も持ち上がっており、円の地位は徐々に低下している。さらに、ある学者の見方では、人民元が国際通貨になることは中国のソフトパワーとハードパワーが強まっていることを意味し、欧州が債務問題の解決で中国に助けを求めたことからも、中国の国際影響力が高まっていることがわかる。

(「中国網日本語版(チャイナネット)」20111011日)

民主・大久保政調副会長:外貨準備では人民元など新興国通貨でも運用を:米国との関係は大丈夫か?

民主党の大久保勉政調副会長が、日本の外貨準備の運用先について、中国・人民元や韓国ウォンなど新興国通貨にも拡大すべきだとの考えを示した、とのこと。「外貨準備の運用先をドルやユーロだけでなく、日本の貿易相手国である中国や韓国、タイなどの国債で運用すべきで・・・貿易の実態に応じてアジア通貨を持つのは自然だ」と語った、という。http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=90900001&sid=a85I0_PKTFcA

大久保氏といえば、京大経済学部卒で、東京銀行、モルガン・スタンレー証券で勤務しており、一般的には経済の専門家のはずだ。言っていることは、一見、さもさもらしい内容だが、多少、気になるところがある。

貿易実態に応じてというのだが、新興国通貨は、決済通貨としては一般的には認めれらていない、ましてや中国元はまだ管理通貨だ。

理想論ではなく、現実的な対応についての発言と思われるが、本来であれば、外貨準備の在り方そのものについても考えてほしい。現状、日本の外貨準備はそのほとんどが米ドルで、ユーロもあってないに等しい。それは、日本の為替政策は、対米ドルを中心に行われてきたからで、その結果として、日本は長きにわたって米国国債の最大の購入者だった。

橋本元総理が、「米国国債を売りたいという誘惑に駆られることがある」と発言して大問題になったことがあるが、いままでは外貨準備の運用そのものが、対米政策そのものであったはずだ。経済の教科書のように「貿易云々」というのであれば、これほど巨額の外貨準備など必要ない。

また、為替の市場介入は既に数十年行ってきているが、結果論でいえば、ほとんど効果がない。その結果として、外為特会は40%の含み損を抱えている。金額にすると40兆円を超えるような金額だ。日本の外貨準備は政府短期証券を発行して調達したもの、つまり借金をして調達したもの、であるが、それをただでさえリスクの高い為替の市場介入に使っている。その上、更に、リスクを取る必要があるのだろうか?

今回の発言が、単なるパフォーマンスでなく、本当の意味で、米国からの自立を考えていっているのであれば良いが・・・

年金支給開始年齢 引き上げ検討へ:それよりもまずは給付額削減や物価スライドの厳格な適用を

厚生労働省は、年金の支給開始年齢について、急速に進む少子高齢化に対応するには、将来的に68歳から70歳程度へ引き上げることを視野に検討を進める必要があるとして、格的な議論を始める方針、だという。

前回の年金制度の見直しでは、自民党時代だったが、それで100年安心と言われたものだ。それが数年で、受給開始年齢の引き上げという議論にまで発展している。http://www3.nhk.or.jp/news/html/20111009/t10013143701000.html

年金問題では、少し前に、本来行われるべきだった「物価スライド」が政治的な理由から行われなかったばかりに、5兆円超の金額が多く支払われていた、という報道がなされていた。(関連記事は次をご覧ください→年金減額見送り額5.1兆円:「次世代にツケを回すな」ではなかったのか?

そこでも書いたが、物価スライドは、その給付額問題の一部の問題でしかない。公的年金の給付額については、政治的な意味合いがあって、従来から、その支払額は大盤振る舞いがなされてきた。給付開始年齢云々の問題以前に、支払額についての議論を行うべきではないか?

物価スライドだけでも5兆円超の余分なお金が支払われている。更に大きな給付額の問題に切り込むことで、いったいどれだけの金額が節約できるのだろうか?

増税問題が大きな議論となっているが、年金問題もある意味税金と似た性格のものだ。そうであれば、歳入が構造的に減少してきているわけだし、これは近い将来劇的に増えることなど考えられないのであるから、政府予算と同様に姓出を削ることも考えなければならないのではないか?野田政権は、「次世代にツケを回さない」ということをよくいうが、この年金問題こそ「次世代つけ回し」の典型的な問題だ。

ルネサスが賃下げという英断:それに対して東電や政治家・公務員の対応はどうなのか?

半導体大手のルネサスエレクトロニクスが2012年1月から月例賃金を7.5%減額することで、労使間で合意した、という。ルネサスは東日本大震災で主力工場が被災したことや、急激な円高や半導体需要の落ち込みで収益が悪化し、これ以上の業績悪化を避けるための措置だという。その英断にエールを送りたい。株式市場でも、業績回復に向けた企業姿勢を評価する向きが多いようだ。http://www.nikkei.com/news/headline/article/g=96958A9C93819691E2E6E2E29B8DE2E6E3E2E0E2E3E39C9CEAE2E2E2

同社では今年の冬のボーナスもカットされることが既に決まっている。これらは、経営者にとっても、従業員にとっても大変つらい選択であることは間違いない。しかし、ある意味、「当たり前のこと」という考え方もできる。それは、会社が倒産してしまっては、元も子もないからだ。会社が倒産してしまえば、従業員は、最悪のケースでは、退職金も何もなく、そのまま路頭に放り出されてしまう。年金もなくなってしまうかもしれない。それよりも、少し我慢をして、会社の業績回復のために努力すれば、また元のような状態に戻る可能性もあるわけだ。

それに対して、東電や政治家・公務員の給与削減問題はどうなったのだろうか?東電は、ケンシロウに「お前はもう死んでいる」と言われたのと全く同じ状態だ。つまり、本来であれば、給料が多いとか少ないとか、年金が多いとか少ないとか、文句を言えるような状態ではないはずだ。極論してしまうと、先のように、倒産した企業の従業員であれば、何もなしに路頭に放り出されてもおかしくないわけだ。

ところが、普通の民間企業であれば、起こることが東京電力では怒らないのだ。倒産した日本航空でもそのようなことが起こらなかった。

また、これは政治家や公務員も同じだ。政治家や公務員は、彼らが先で、その次に国民が存在するのではないはずだ。国民がまずいて、その次に政治家や公務員という役割が発生するはずだ。ところが現在はその順序が逆になっている。国の財政が破たんすると言って騒ぐのであれば、ルネサスと同じように、まず自らの給与を引き下げたり、民間であれば当たり前の、従業員数の引き下げなどを真剣に考える、ということがあってよいのではないか?

中国高速鉄道事故と福島原発事故の報道に見る日本の悲劇

先の中国高速鉄道事故の対応をめぐっては国内外から批判が噴出した。中国メディアでも多くの批判が寄せられた。もとより中国は共産党の一党独裁だ。今までは、共産党の力で多くの情報を隠蔽し、国内はまだしも国外に情報が漏れないようにすることなど日常茶飯事だった。場合によっては声明に、危険が及んだり、政治的な制裁を受けることも当然あるだろう。

しかし、最近は中国のメディアの在り方に若干の変化がみられる。高速鉄道の事故でも、政府の圧力にもめげずに、多くのメディアが情報を流した。共産党や政府の方針を伝えることが多い国営テレビの中国中央テレビでは、女性アナウンサーが、声を詰まらせ涙ながらに異例の政府批判を行うということも起こった。

女性アナウンサーは事故について、「こんな危険なシステムがなぜ運行できるのか。発展の目的と意味を見直すことを期待したい」と話し始め、2歳の女児が救助活動を打ち切ったあとに発見されたことに触れ、「鉄道省は奇跡と言いましたけど、彼女にとって耐えられない災難です。政府の長期保障制度を期待したい」と涙を流しながら訴えた、という。

政府が、鉄道省に責任を押し付けるためのヤラセではないかという意見もあるが、中国のメディアの報道に変化があるのは間違いないだろう。

それに対して日本のメディアはどうだろう。福島原発事故では、政府の官製報道をただたれ流すばかりで、「安全・安心」を繰り返した。事故発生直後は、「政府寄りの報道を行う」といつもは批判されているNHKが、民放よりもより事実に近い報道を行うといったことが見られた。その中心となった水野解説委員には圧力がかけられていた、という。

最近は、原発事故から7か月を経過して、原発や汚染の状況に関する報道が減っているように思われるし、危険な状況は全く変わっていないにもかかわらず、その報道からは何故かっ危機意識はあまり感じられない。これでは、被災地から遠く離れた人々は「他人事」のように感じてしまっている人たちも多いのではないか?

一党独裁のもとで報道管制が引かれている中国と、原則、自由に報道が出来る日本とでは、メディアの在り方も大きく異なるのは当然だが、日本の方が報道管制が引かれている国のように思われるのは何故だろうか?

中国高速鉄道事故では、それ見たことかという報道も多かったが、この中国と日本のメディアの現状を見ると日本の方がはるかに悲劇的な状況ように思われてしまう。

米、ドル安基調を黙認 FRB元幹部「景気刺激策の一部」:ドル安は米国の戦略

FRBの元幹部が「ドル安は政策手段の一部」であることを認めました。つまり、ドルがパニック的に売られたりしない限り、米政府はドル安基調を放置する公算が大きいということだ。残念ながら円高圧力は当面続きそうだ。http://www.nikkei.com/news/category/article/g=96958A9C9381959FE0EAE2E3918DE2E3E3E2E0E2E3E39494EAE2E2E2;at=ALL

今まで米国は公にはドル安政策をとっていることを認めることはありませんでした。しかし、事実上、ドル安政策をとってきていました。オバマ政権で財務長官を務めているガイトナー氏は、就任時に議会で、経常収支の改善策を聞かれ、為替政策を行うことを否定せずに、むしろ肯定する発言をしています。

ドル安の米国への影響ですが、オバマ大統領が政策として掲げているように、輸出を増やして貿易収支(ひいては経常収支)を改善することが期待出来ます。今年2011年の13月期に輸出は前年比で14.9%増とほぼオバマ大統領の輸出振興計画(5年で倍増)に沿ったペースで増加しています。

また、米国の債務(ここでは資本収支における海外から流入資金のこと)はドル建てなので、実はドル安が進んでも総額は変化しません。しかし、米国が海外に持つ債権(米国の場合は主として直接投資を行った結果としての資産)はドル以外の資産なので、資産は大きく増加することになります。この結果、米国の国際収支が大きく改善することが期待できます。

更に、ドル安による輸入物価上昇によって輸入が減少すれば同様の効果が期待できます。

時として米政府の高官から「強いドル」という言葉が出ることがありますが、これはあまりに急激なドル安は、米国からの資金流出が起こる恐れがあるので、スピードを調節するためにブレーキを踏んでいる、と考えたほうが良いでしょう。現大統領のオバマ氏も輸出振興策(5年で倍増)を打ち出していますが、その中心となるのはドル安であることは疑いようがありません。今回のFRB元幹部の話はそれを認めるものです。

日本政府は、為替の市場介入のための手当ても行っているようだが、今まで市場介入で効果は全くあがっていない。それどころか、その結果として外為特会は40兆円の評価損を抱えるという状況となっている。その上、米国が「ドル安は米国の戦略」と認めたのであれば、日本の市場介入など意味のないものとなってしまう。

農水省が農地大規模化の方針:しかし政策は「ちぐはぐ」

農水省が、農家1戸当たり平均2ヘクタールの農地を、5年で約10倍に拡大する方針を打ち出した。http://www.nikkei.com/access/article/g=96959996889DE1E7E0E5EBE7E6E2E2E0E3E2E0E2E3E39797EAE2E2E2;bu=BFBD9496EABAB5E6B39EB596B7BABB979484E3E4A8B990AB8394B893F9E5B087BFE49BBC8A9D86E3A598B3A19AE3EB9DA4AB9A83B08397EAE3E79082A2B182A5E5E188E5889CE6F9BAB4A3B7E096E49BF9A09694B48190A3939BB1FDA886B39F8BBCE7B498949F88B9A8A599B899B7AAB7A1E3A3B5BDE5B5969DB398818B8695819A88E4E083B69FE1BAFDEB858AA2A5B4E6A79680A18499A5B381B99A82A5A195A4A2A09FA1888A8BBF8484809CFD9CBC82B8A2BB94E2E088E6E5B588BE959E999CE488B8938A95F983A288B99B9AB399BA9591849FE088A09D9683E59195B086ABB4E38BB9A595B594B6EB8285BB9891E6B490E0E48099A5B987808199B4A7E1EA9EA6E0B6A0B78191B1BC9CEB9BA3E09C86A4F9E1FD95B0A6E5FDE4A4BBBC95E095BE9DB89FE096A2828BA3A7A790F9A491B9AAA496B5A8B491959BBEF980A79C9BBFA79AEAA2A7E7AA97B0EA9BEA98B8B7E495A397ABA29FA1B0BCB8A2E5919A9886FDB7A4ABB59697EF

そうは言いながら、農家への戸別補償制度向けに来年度も8000億円の予算を組んでいる。

野田政権になって、環太平洋経済連携協定(TPP)への参加について検討するということになった。農業の生産性向上はこのTPPなどのFTA対策として議論されることが多かったが、しかし、TPPに参加する・しないにかかわらず、このままでは日本の農業が「絶滅」しかねない。記事の中にもあるが、1人当たりの生産額は1600ドル(約120万円)にすぎず、専業農家は30%を下回り、兼業農家がほとんどという状態だ。つまり、極論すると、今や日本の農業が「家庭菜園の延長」ともいえる状況だ。また、そのような状況であるので、後継者もおらず、このままでは何もしなくても日本の農業は衰退する。

農地の大規模化を図るのであれば、現在の「バラマキ」戸別所得補償制度を改める必要がある。大泉宮城大学副学長が指摘するように、この制度は「ブレーキとアクセルを同時に踏んでいる」ようなものだ。

現在のこの制度は、民主党の小沢氏が最初に出した内容とは似て非なるものだ。小澤氏は戸別所得補償制度とTPPを結び付けて提案していた。つまり、TPPに参加して、関税をゼロにする。そして、また、減反政策も廃止する。また、減反政策も廃止する。それによって、影響を受ける農家は、効率化を進めざるを得なくなる。そして、本気で農業に取り組もうという農家に対しては、生産コストと販売額の差額を保障しようというものだった、はずだ。

しかし、民主とは票欲しさに、換骨奪胎して「バラマキ政策」に転換してしまった。

今回の農水省の方針も、おおもとの政策の抜本的な見直しがない限り、口先だけのものに終わるだろう。

年金減額見送り額5.1兆円:「次世代にツケを回すな」ではなかったのか?

野田政権が、大増税路線を突っ走っている。そのお題目は、次世代にツケを回すな、だ。

その為には、増税するばかりではなく、歳出を減らすことも同様に重要な事だ。また、官僚が自分たちの為に、ため込んでいる資金の復興という目的の為に、供出させることも重要だ。

そのような中で、野田政権が、増税以外の施策を行わないということを、示すようなニュースが流されていた。しかし、新聞の扱いは非常に小さいものだった。

101日の日経新聞に「年金減額見送り額5.1兆円」という記事が掲載されていた。

これは、公的年金で本来行われるべき「支給額のインフレ・スライド制」が、見送られてきたために、本来支払うべき金額よりも5.1兆円も多く支払われているというものだ。今後、このまま調整が行われないならば、単純計算すると今後10年で更に5兆円以上が余計に支出されることになる。http://www.nikkei.com/news/latest/article/g=96958A9C93819591E0EBE2E3E58DE0EBE2EBE0E2E3E39797E3E2E2E2

公的年金の給付額については、政治的な意味合いがあって、従来から、その支払額は大盤振る舞いがなされてきた。最近は、現在、現金を受給している高齢者と、それを負担している現役世代との間の世代間格差が問題となって、かねて議論が行われてきた。この年金問題は、野田政権が、まさに問題としている「次世代にツケを回すな」という問題の典型的な事例である。しかも、今回の「インフレ・スライド性」は、その給付額問題の一部の問題でしかない。しかし、その一部が積もり積もると5.1兆円という巨大な額となる。

これからの日本で、デフレが早急に収束してインフレが発生するとは考えにくいので、このままでは、これからの10年間で、少なくとも更に5兆円以上の支払い超過が発生することになる。それは、現在、増税の額について議論されているが、その額と比しても相当の比率になる。

野田政権が、本当に、「次世代にツケを回すな」ということであれば、今回のような問題については、もっと積極的に議論をして、メスを入れていかなければならないはずだ。そうでなければ、まさに嘘偽りの看板を掲げていることになるのだが・・・

テレビ局の法人税などが減税される?:電波料をほとんど払っていないのに、税金も払わないのか?

総務省が災害時放送手段の確保に向けて、テレビ局などの法人税等の減税を要望するとのこと。

一般の民間企業であれば、BCPをはじめ災害時の対応などはかなり早くから進めてきている。テレビ局等は今までそれをないがしろにしてきて、それを「災害時対応」という錦の御旗の元に、減税という手段で行おうというのだろうか?

テレビ局は、電力会社と同じ規制業種で、ある種の特権が認められている。その事業のベースとなっている政府に支払う電波料(製造業であれば原材料)は極端に安い。事業料収入の0.10.2%程度しかない。通常の事業であればあり得ないことだ。今回の大災害に当たっても、チャリティと称して、国民からはお金を集めるが、出演するタレントにはお金を払い、24時間放送などでは、多額の広告料をとっても、自らは寄付をするわけでもない。

本来、企業自らが、企業努力として行うべきものを、「災害対応」あるいは「公共の利益」などを盾に、税金の減額などを行うのは如何なものか?

http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/mnews/20110929-OYT8T00360.htm 

福島第1原発事故 緊急時避難準備区域、30日夕方に解除へ: 安全かどうかも全く確認できていない~まずは除染が先ではないか?

昨日、30日に福島第1原子力発電所の事故で設定された緊急時避難準備区域が解除された。

政府は、原子炉の安定的な冷却対策が達成されたこと、そして、対象となる5つの市町村が復旧計画を提出したなど、解除の要件がそろったとしているのだが、しかし、解除条件は、「住民の安全が確保される」ことではないか?

「原子炉の安定冷却」などメルトスルーしてしまっているので、ほとんど意味をなさない。

今頃になってやっと、地域の汚染状況が少しずつ出始めているが、予想通りに当初の政府発表よりは、その汚染状況はひどいし、広い地域に広がっている。除染をしないととても住めるような状況ではない(個人的にはかなりの地域を今後かなりの期間にわたって、立ち入り禁止にすべきだと思っている)。

自宅に戻ることの前提は、最低限、除染をして、線量が規制値以下になることだろう。しかし、その除染も、先に発表になっていたが、基準が5mSv/年であったので、1mSvという基準値をかなり上回ったもので、既に政府は住民の被ばくを前提として動いている。1mSvにすると処理費がかさむということで、住民のイノチよりお金を優先させたということで、菅政権から続く国民の命を大事にしないという方針が継続している。

http://headlines.yahoo.co.jp/videonews/fnn?a=20110930-00000614-fnn-soci

為替介入枠15兆円の拡大指示、「必要なら断固行動」:40兆円の含み損をどうするのか?

安住淳財務相は30日朝の閣議後会見で、2011年度第3次補正予算で、為替介入の原資となる政府短期証券(FB)の発行限度額を15兆円引き上げるよう指示した、とのこと。これによって、今後の、為替介入の原資は現在の31兆円から46兆円と過去最大規模に膨らむことになる。http://jp.reuters.com/article/forexNews/idJPJAPAN-23429020110930

既に日本の外為特会の残高は円ベースで100兆円余りに達しており、報道されているように、40%余りの評価損が発生している。つまり、日本の1年分の税収全てが失われているに等しい。1971年のニクソンショック以来40年が経過して、その間に、日本は円高を阻止するために市場介入を繰り返してきたが、効果はほとんどなかった。360円だったものが、現状75円に近く、これが72円になると、数字の上では5分の15倍?)になった計算だ。意味のない市場介入を繰り返すことで、さらに評価損を膨らませようというのだろうか?

日本の外為特会は政府短期証券の発行によって、資金を調達することで成り立っている。つまり借金をして、市場介入をしているので、中国のように外貨が積み上がっている国とは根本的に状況が異なる。

円高は最近になって始まったことではない。既に40年も前に始まっていたことだ。最近は、円高が進んでも大企業はあまり声をあげなくなった。経営が大変なことは否定できないが、市場介入が無意味なことは十分理解したうえで、海外進出や、資金管理の高度化など様々な対応を取ってきている。問題は取り残されてしまった中小企業だろう。しかし、グローバル化が進む世界経済において、円が極端に円高に振れることは残念ながら考えにくい。円安に大きく振れる時は、日本そのものが大きく世界経済の中で埋没していくときで、むしろその方が日本にとっての打撃は大きいはずだ。

意味のない介入を繰り返すのではなく、政府のやるべきことは、企業、特に中小企業、が世界の成長を取り込んで、一緒に成長できるように後押しすることだろう。

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