HOME > 日々雑感:よくわからないこと?! > 時事問題 > TPP交渉への参加への理解求める:「食料自給率を向上させ、農林漁業を再生させる」のウソ
古川元久国家戦略担当相が29日に青森県外ケ浜町の農業法人を視察後に記者団に対し、環太平洋連携協定(TPP)の交渉参加問題について「貿易立国である日本にとって、高いレベルの経済連携は推進しなければいけない」とした。一方で「食料自給率を向上させ、農林漁業を再生させることもやらなければならない」と述べた、という。
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/111029/plc11102922430007-n1.htm
今まで、「日本の食糧需給率が低い」ということが盛んに喧伝され、農業保護の重要性が強調されてきた。政府がよく使うのが、総合食料自給率「39%」という数字だ。しかし、これはカロリーベースで数値で、生産額ベースの数値で見ると69%となりほぼ7割が自給できていることになる。更にいえば、このカロリーベースの数値は供給ベースではなく、摂取ベースであることから、供給ベースで見れば10%程度上がるのではないかと言われている。
生産額ベースでみると、野菜や果物はほぼ80%、魚介類は50%程度自給できている、しかし、カロリーベースでは野菜などはほとんど計算に入らない。野菜はビタミンなどは豊富だが、カロリーがほとんどないからだ。
コメなどは作りすぎで、これだけ減反をやってもまだ毎年余剰米が発生している。また、耕作放棄地が埼玉県の総面積よりも広いことなどを考えれば、贅沢をしなければ十分時給は可能で、政府が騒ぐような状況ではない。
いままでは、自給率が低いということで危機感をあおって、農業者及びその関連事業に多額の補助金を流してきたのだ。
農林漁業を再生させることは極めて重要な政策課題だが、「食糧自給率を向上させる」ということはそもそもからウソだ。また、現在のような「戸別所得補償制度」は農林漁業を再生させるためには全く役に立たない。(現在の制度がダメという意味で、戸別所得補償そのものを否定するものではない)
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