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【Crossroad誌:掲載記事】 『なぜわからないの』(門倉直子)(2011年11月号)

日本語と中国語のバイリンガル・マガジン『Crossroad誌』11月号に以下の記事が巻頭エッセーとして掲載されましたのでご紹介させていただきます。

毎月このような形で同誌の『巻頭エッセー』として、日本の若手アーティストを紹介する記事を書かせていただいております。同誌は、中国の華南地方(主として 広東省と香港)を中心に、ビジネス情報を主体としてはいますが、文化や芸術等様々な情報を発信している雑誌です。編集部は、現在夏季ユニバーシアードが開 催されている広東省・深圳市にあります。

今回は「門倉直子」さんの「なぜわからないの」という作品です。

 

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コメント:

「なぜわからないの」と、このような少女に問われたら、あなたはどのように返しますか?このように大きな目で、しかもこのように強いしかも揺らぎもしないまなざしを突きつけられたら?大人の男性であっても、この目を直視していることには耐えられないのではないでしょうか?なにかこちらの心の中まですべてお見通しといった感じで、戸惑い、恐れ、思わず目をそらしてしまいそうだ。

この少女は何をわかってほしいのだろうか?髪を染めて、Lady Ga Gaのように結ってきたことをわかってほしいのか?ほかの子とちょっと違うというところをわかってほしいのか?あるいは、ちょっと“とんがった”ことをすることで、彼女自身に目を向けてほしいという“サイン”を出していることをわかってほしいのか?

作家の門倉さんが描くのは「少女の顔」であり、そして、「少女」という独特の「存在」を描いている。彼女たちは、新しいファッションを身に着け、メイクをし、「カワイイ」「カッコイイ」存在であるために一生懸命だ。そのような少女たちの一瞬一瞬を切り取った時に、我々が直視できないような表情や存在感が生まれるのかもしれない。

作家が描く少女たちは、一様に、目が大きく、鼻が小さいと言ったように、アニメチックで現実には存在しえないような顔なのだが、そうでありながら、あるいは逆にそうであるからこそ、非常にリアルなイメージが伝わってくる。作家自身は、どちらかと言えば、彼女の画に登場する少女たちとは異なる謙虚さを秘めた優しいイメージの女性だが、彼女自身が描く少女たちに憧れのような感情も抱くという。そのように、作家が強いイメージを持っているからこそ、その少女から非常にリアルなイメージが伝わってくるのかもしれない。しかし、一旦、作家の手から離れた少女たちは、作家の思いから離れ、その独立した存在は、「なぜわからないの」と、自分自身の存在を主張し始めるのではないか。そのためか、作家の描く少女たちに囲まれると、言いようのない何か不思議な雰囲気に包まれて、じっとはしていられないのだ。

略歴:

1997   千葉県に生まれる

2001   文化学院芸術専門学校卒業

個展

1999年 初個展「N局」 (巷房)

2000年 個展 (アートスペース羅針盤  以降、計5回開催)

2001年 個展 (ざくろ坂ギャラリー 一穂堂)

2001年 「昨日の怒り 今日のユウウツ」 (ギャラリー蔵)

2004年 「―face=sarface?今日の絵画に見る顔―」 (ギャラリーSAZA

2007年 「空想する少女たちへ」 (アートスペース羅針盤)

2008年 個展 (ギャラリー椿)

2008年 「cat walk」 (アート★アイガ)

2009年 「Revue girl」 (アート★アイガ)

2010年 「-あちらとこちらの世界から-」 (ギャラリー椿)

2011年 「なぜわからないの」 (アート★アイガ)

受賞

2000年 文化フォーラム104柏市美術展 大賞(審査員;峰村 敏明氏)

2003年 文化フォーラム104柏市美術展 大賞(審査員;本江 邦夫氏)

2003年 エプソンカラーイメージングコンテスト 佳作

2004年 プリンツ21グランプリ 入選

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