年金支給開始年齢引き上げ先送りへ:しかし、そもそも論として、約束が違いすぎるのでは?/日々雑感:よくわからないこと?!

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年金支給開始年齢引き上げ先送りへ:しかし、そもそも論として、約束が違いすぎるのでは?

年金の支給開始年齢を68歳から70歳くらいに引き上げるという議論が起こっていたが、とりあえず先送りとなったようだ。http://sankei.jp.msn.com/politics/news/111027/plc11102700090000-n1.htm

その議論と並行して、希望する従業員には65歳まで雇用する義務を企業側に課そうという話が出てきていた。

しかし、これには違和感を感じざるを得ない。というのは、これまでの年金制度では、60歳まで働いたら、それ以降は年金だけで安心して老後を過ごせますよということが盛んに喧伝されて、年金制度が維持・発展されてきたからだ。それがいつの間にか、支給開始年齢に達するまでは働かなければならない、ということになっている。これでは将来の人生設計に関する考え方が根本から変わってきてしまう。もし、70歳まで支給開始年齢が引き上げられたら、70歳まで働かなければならない、ということになるのだろうか?

多分、年金の掛け金もずっと払わされることになるだろうから、男性の場合であれば、平均寿命からすると、50年近く年金の掛け金を払って、受給できるのは10年に満たない、ということになる。一体、この年金制度というのは、誰のための制度なのだろうか?

厚生年金基金や共済年金制度がつくられたのは、公務員の天下り先を確保するためだった、という話を旧厚生省の官僚から聞いたことがある。厚生年金基金でいえば、一番多い時で、2000近い基金が設立されていた。その運営は、理事長、常務理事、事務長などと事務員若干名ということが多い。そのうち、常務理事と事務省は社会保険庁からの天下りがほとんどだ。規模が大きな基金では、常務理事は旧厚生省からの天下りポストになっているところもある。そもそも、設立の認可を出す際に、旧厚生省や社会保険庁から何人という数が決められ、その給与までいくらということが指示されることも多かったそうだ。

80年代以降は、年金と福祉が「車の両輪」と呼ばれ、年金基金が、福祉施設を多額の費用をかけて盛んに建設した。しかし、結局は、バブルが崩壊して、それらの施設は価値が急減したばかりでなく、利用者も増えない中で、赤字を垂れ流し、年金積立金がそれらの赤字の補てんに使われるということになってしまった。

本論からそれてしまったが、年金制度は既に制度疲労を起こしている。抜本的な改革が必要だろう。具体的には、現在の賦課方式について徹底的に議論する必要があるだろう。通常、家計が厳しい場合には、出るお金を何とか減らすことから入って、また、同時に、副業などで何とか少しでも収入を増やそうということが行われるだろう。しかし、現在の年金制度では、通常であれば、真っ先に行われるであろう「出るお金を減らそうという努力」は全く行われていない。それは「給付金額の見直し」のことだが、本来、制度で定められて行われるべきインフレ調整さえ行われていない。そのため、過去10年近くで5兆円以上が余分に支払われている。これは少なくない金額だ。

民主党政権が誕生した時には、いわゆる「埋蔵金」や「人件費削減」などでかなりの財源をねん出すると言っていたが、全く何も行っておらず、結局足りない足りないで、その分をすべて増税で賄おうとしている。この年金制度でも全く同じだ。このようなやり方ではいくらお金を集めても、穴の開いたバケツに水を入れるようなもので、いくらあっても足りない。

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