財務相"納得いくまで介入":為替の市場介入は「トイレのないマンション」:原発と同じ構造/日々雑感:よくわからないこと?!

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財務相"納得いくまで介入":為替の市場介入は「トイレのないマンション」:原発と同じ構造

円相場が徐々に水準を切り上げ始めた。安住財務大臣が、「市場がどう思おうと、私としては納得いくまで介入する」と述べて、大規模介入を行ってから半月余りが経過した。http://www3.nhk.or.jp/news/html/20111031/k10013620641000.html

以前から何度となく書いてきたが、為替の市場介入は、全く効果がない。そもそも、市場環境が20年、30年前とは全く異なっている。今回にしても、安住財務大臣が「市場の投機的な動きに対しては断固たる措置を取る」と発言してきたが、円高というよりも他通貨が弱くなっているもので、市場介入を行っても、円高の原因となっている根本的な原因を解決できるわけでも何でもない。

また、今回の介入にあたっての安住財務大臣の発言で、財務省・日銀が目標としている水準が透けて見えてしまったために、円安になった場合には、買い方は安心して買っていけることになってしまった。安住大臣が言及した投機筋を設けさせるために市場介入を行っているようなものだ。

これも何回も書いているが、日本の外為特別会計は、既に保有資産の40%程度、つまり40兆円近い含み損益を抱えている。これは日本の1年間の税収に相当する。

介入によって積み上がったドル資産を、いずれかのタイミングで円に戻して、介入資金の原資となった政府短期証券による借入(つまり借金をして介入を行っている)を返済することが出来ればよいが、日本はそれをしたことがないし、「その選択肢はない」。それは、そのドル資産は、米国債の購入に宛てられ、一旦買ったら、それを売って資金を回収するということは米国との関係上できないからだ。

これは、福島原発事故以降に大きく取り上げられるようになった原子力政策と同じように「トイレのないマンション」、表現が良くないので言い換えれば「出口のないマンション」と言ったところだ。つまり、外為特別会計は、増えこそすれ、減少するということがないわけだ。このままでは、外為特別会計がとんでもない含み損を抱えてしまう可能性が高くなる。既に40兆円の評価損があるのだが、これ以上増えたらどうなるのだろうか?

東京大学大学院経済学研究科の伊藤正直教授は13日に開催された国際シンポジウム「日本の啓示」で、「日本の現在の外貨準備は先進国と比較しても多すぎる、と警鐘を鳴らしている。http://j.people.com.cn/94476/7645504.html

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