HOME > 日々雑感:よくわからないこと?! > 時事問題 > 福島県東部のコメ出荷停止と日本の農業問題
本稿では、その原発事故や放射性物質の問題ではなく、この関連記事から見える日本の農業の問題を改めてみてみたい。
この件で、出荷停止になった区域のコメ販売農家は406戸で、作付け面積は約165ヘクタール。コメの生産量は約825トンだ。
1戸当たりの作付け面積は、40アール、1戸当たりの生産量は、2トン(約33俵)となる。
この数値は日本のコメ農家の平均的な数値より極端に小さい・少ないというものではない。(全農地で見ると平均作付け面積は0.7ヘクタールとなる。)
コメ2トンの生産は、約33俵なので、大体20家庭分くらいの食料を生産したことになる。
金額にすると生産者米価の価格にもよるが、1俵1万円とすれば33万円だし、15000円とすれば約50万円だ。
農家を事業単位で考えた場合は、売り上げは50万円となるし、また、生産量とすれば20家庭分の製品しか作れないことになる。
製造業で考えた場合は、売り上げが50万円、20家庭分の製品しか製造できないとすると、事業として成り立つはずがない。
農業が儲からないという点についても、浅川芳裕氏は「日本の農業が復活する45の理由」の中で、生産性の観点から記載している。
農業統計でみると、コメ農家の労働時間は10アールで年間30時間ですが、実際には10~15時間で済みます。1ヘクタールでは、わずか150時間です。会社員で言えば、1か月の労働時間でしかありませんから、「儲からない」というのは話が違います。むしろ「働いていない」と言ったほうが良いでしょう。統計でも1ヘクタール未満のコメ農家の収入は時給に換算すると300円です。しかし、10ヘクタール以上のコメ農家では時給3100円となる。
民主党になって、戸別所得補償制度が行われたり、昨年はTPPの問題を巡って推進派と慎重派(この言い方には違和感を感じますが・・・何故反対派と言わないのでしょうか?)との間で激しい批判合戦が行われました。しかし、それらと切り離して、先の数値で現在の日本の農業・農家というものを見た時に、違和感を感じざるをえません。もう何十年にもわたって、日本の農業・農家の競争力を高めようという議論が行われてきましたが、何も変わっていません。
現状を踏まえて、農業・農家の在り方を変えていくべき時なのではないでしょうか?TPPがどうのこうのという以前の問題です。
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