2012年4月/日々雑感:よくわからないこと?!

2012年4月

「歳入庁見送り案」も・・・またもや財務省の反対で民主白旗か?!

政府は27日、社会保障と税の一体改革に関する5閣僚会合で、社会保険料と税金を一体的に徴収する「歳入庁」構想の中間報告をまとめた。国税庁と日本年金機構を統合しない「歳入庁見送り案」も含まれる、とのこと。またもや財務省の反対ではやくも民主党が白旗を上げたような状態となっているようだ。

http://sankei.jp.msn.com/politics/news/120427/plc12042722510018-n1.htm

いったい民主党が国民に約束したことで、それが実行されたことに何があるのだろうか?むしろ、消費増税のように、「やらないと約束したこと」ばかりを実行しようとしているように見えるのは、私の感違いだろうか?

「歳入庁構想」は民主党のマニフェストに記載されていたものだが、何故か、その後の2010年参院選のマニフェストからは消えていた。財務省のパワーの源泉の1つでもある国税庁を切り離されては困るという財務省の思惑があることは明らかだ。

民主党が、消費増税の根拠となっている「財政再建」にそれほどまでに固執するのであれば、歳入庁を設立する意義は計り知れないのではないか?また、今回設置することが決まった「行政改革に関する懇談会」で議論する「行革」への項かも計り知れないはずだ。

今夏の電力不足対策には5800億円もの予算が計上されている・・・いったい今まで何をやっていたのだろうか?

政府は23日、原子力発電所の再稼働がない場合の今夏の電力不足予測について検討する需給検証委員会の初会合を開いた、という。

http://sankei.jp.msn.com/life/news/120423/trd12042319240023-n1.htm

しかし、電力の需給が厳しいことは、去年から分かっていたことだ。その対策のために、既に5800億円もの予算が既に計上されている。

その予算は、国家戦略室に設置された「エネルギー・環境会議」によって策定された「エネルギー需給安定行動計画」に記載されているものだ。

その計画通りに行えば、今夏の供給不足は解決されるはずだったのではないか?

原発を再稼働しないのは「集団無理心中」などと脅すのではなく、予算も計上して対応策も決めたのであるから、何をやって何がまだ足りないのかをしっかりと検証して

解決策を立てて欲しいものです。今までの民主党のやり方からすると、非常に悲しいことに、具体的に事を進めているとは思えないのです。

昨年、菅政権の時に余剰電力があるのではないかと調査を行ったことがありました。結果的には、「すぐに使える」余剰電力はそれほどなかった、ということになってしまいました。

それもそうでしょう、自家発電設備などはたくさんあるのですが、電力会社が送電線をつながないなどと邪魔をして、今までは送電することが出来なかったりしたためです。また、設備が老朽化している場合もあったでしょう。しかし、1年もの時間があったわけですから、その間にできることはたくさんあったはずです。

いまからでも遅くはありません。出来ることはとにかくすべて行って、電力不足に備えて頂きたいものです。それとも、原発が稼働しなくても電力が賄えるということがわかってしまっては困るのでしょうか?

民主党がまた「行革議論」の懇談会設置・・・いまさら何を議論するのか?

民主党がまた「行革議論」の懇談会を設置するという。野田政権は、稲盛和夫京セラ名誉会長ら有識者10人による「行政改革に関する懇談会」の設置を決め、民間の知恵を借りて公務員制度改革や規制改革に切り込むことを目的に、ゴールデンウィーク明けに初会合を開くそうです。そこでは、公務員人件費の削減や規制改革などを検討するそうです。

http://www.asahi.com/politics/update/0428/TKY201204280003.html

しかし、検討するという事柄は、既に民主党のマニフェストにも盛り込まれ、消費増税議論の中でも、その実施の前提とも考えられている事柄ばかりのように思われます。ましてや、民主党政権発足以来、「事業仕分け」などを行って、本来であれば、完全とは言わないまでも、かなり状況が改革・改善されていなければいけないはずです。

まあ事業仕分けをしても、すぐその後に当時財務大臣だった野田首相その人が公務員住宅の建設を許可してしまうのですから、「事業仕分け」がただのパフォーマンスにすぎなかったことは明らかです。

513日には、国会提出した行政改革実行法案に盛り込んだ首相の諮問機関「行政構造改革会議」の発足も予定されており、同じような会議ばかり作って一体何をやろうというのでしょうか?

本音としては、「行革の議論」を少しでも早く進め、消費増税などへの理解を得たい考えのようですが、「もう議論するときではない」でしょうし、議論ばかりしても国民はもう騙されません。マニフェストなどで国民に約束してきたことをまず実行するときでしょう。

医療介護など有望産業で雇用1000万人増 国試算・・・しかし、これらの産業は規制でがんじがらめ

経済産業省が、医療介護やヘルスケア、新エネルギーなど将来有望な産業が、2020年までに約1000万人の雇用を生み出すとの試算をまとめた、という。http://www.nikkei.com/news/headline/article/g=96958A9C93819481E0E2E2E19F8DE0E3E2E6E0E2E3E09F9FEAE2E2E2

農林水産省がまとめたならば農業も雇用を生み出す産業として報告されていたことだろう。

輸出主導から内需主導の成長路線に切り換えなければならない、ということが叫ばれてから久しい。それが言われるたびにこれらの産業が成長が期待される産業としてあげられてきたのではなかったか?

しかし、残念なことに、言われたような結果にはなっていない。それは、これらの産業が規制産業であるからだ。福島第一原発事故で明るみに出てきた電力、バブル崩壊とその後のデフレの原因となった銀行、あるいは放送・通信などと同様に様々な規制で業界は保護されており、業界の反対があって規制緩和は進んでいない。TPPの議論でも感情的な議論ばかりで、全く進まないが、規制緩和についての賛成・反対の議論もこのTPPの賛成・反対と同じような議論となっている。

今回の報告書を作成した経済産業省にしても、福島第一原発事故から分かったように、その視線は業界に向いているのであって、決して国民には向いていない。

つまり、業界の利益に反することは行わないということだろう。であれば、次に予想されることは、産業育成のためにということで、新たな予算を請求するということだろう。

今まで何度も同じようなことが繰り返されているはずで、それを実現しようとするならば、規制緩和などを行うことで、利権構造にメスを入れなければならないだろう。

「首相、表明先送りへ」・・・もう、TPP交渉参加はAPECで表明したんじゃなかったのか?

もう何が何だか全くわからないことになっている。

今日の新聞には「TPP交渉参加 推進に陰り」「首相、表明先送りへ」という見出しの記事が出ている。

http://www.nikkei.com/news/category/related-article/tc/g=96958A9693819481E0E2E2E08B8DE0E2E2E6E0E2E3E09797E3E2E2E2;c=DNX;at=DGXZZO0195166008122009000000;cg=312;bu=BFBD9496EABAB5E6B39EB5A18288889AA3B8E2A4BDEBA1B0E498B1A1A89F9AF9BAB1BDE39E9DB4AB85B5A7B7EB95E58A84959D84A1B698E7BC97A8A3E287A8BB94EAA5F987EBB181B9B39AE2EB9D80E290E6B19386B7AAE68AE1BEA788E0919888B6A5AABC8B909BB687B693B9AAA59582E3B18381B9A1B5B6BA868188A4BBA68AB18096999F9EB5B091AAE191B6A5EA86BCEBA6A0B39084E1AAE1BE91A598E0A19AB384A3E7B68B869E9EFDA280EA86B09AF9BF8694E4E4F9859481AAE7959B9E839E9C97BFE79C9E82E4B7A6B79E95A79E9988819396B9869D80BEEB96AAABA0A6E0E3B9E588BFBC9A9D969DB38193BA86B9989C85E6829D9984BEA795B3B09493A684EAB598E7B49E9BE1F9BEBAA5FDE3A480A593BAE29A9C9DBBA7A29A9BE1E0A6B89A82A7B093EBF9B996AAB0B1E3818AB890B5B6E0A6BCE2BAE3EBB8BF87B39091A591BAB39598E1B6B4E28194E2BCB4EABBA0B19A94B3B5B3AAB1E1A8919A9886FDB7A4ABB59697EF

 昨年11月にハワイで開催されたAPECで、野田首相は、TPPの「交渉に参加することを表明」したのではなかったか?(以前の新聞記事にはそう書かれているようなのだが…)

私の記憶では、「日本の表明を呼び水に、カナダ、メキシコも協議入りに動き出した」と報じられていたはずだ…

別に、「TPP参加を決定」したということではなく、「交渉に参加することを表明」しただけだ。それになのに、今回の野田首相の訪米にからんで、いままた、「交渉参加」の表明をする・しないの議論が行われているようだ。日本の交渉参加表明を受けて動き出したカナダやメキシコはどうなってしまうのか?

それとも、昨年のAPECでの発言は,TPP交渉参加の「意向」を伝えただけ」で、交渉参加に向けて関係各国と協議をしていくだけで、「交渉に参加するとの表明はしていない」とでもいうのであろうか?

このようなお役所言葉が、関係各国でしっかりと理解されているのだろうか?少なくとも、カナダやメキシコは理解していなかったのではないか?

それは、日本国内でしか通用しない(政治家はわかっても、国民には分からない)だろうし、とても国際政治の場で通用する議論とは思えない。

昨年あれだけの大騒ぎをしたのに、今ここで「交渉に参加することの表明」(TPPに参加するという表明ではない)をする・しないというところで、ずっと止まったままだったのだろうか?一体何がどうなっているのだろうか?最近は、物忘れも激しくなっているので、数か月前のことはもうよくわからない。新聞やテレビでこのあたりのことをよく解説してもらいたいものだ。

江田憲司著『財務省のマインドコントロール』(その2)...湾岸戦争でコミットメントが遅れのは外務・大蔵省のけんかのせい?!

掲題の書籍を読んでいてまた驚くべき記述を見つけたので「その2」として紹介します。

それは「財務省支配のカラクリ」という章に出てきます(153頁)。

19908月にイラクがクウェートへ侵攻した直後、政府内の外務省と大蔵省のせめぎ合いの中で、政府が打ち出そうとした貢献策について、大蔵省が「事前に聞いていない」、外務省が「いや、話した」といったけんかをして、資金協力へのコミットメントが遅れた、というのです。

その結果は皆さん良くご存じのとおりです。日本は増税してまで130億ドルの資金提供を行ったのに、「Too little, too late」(少なすぎるし、遅すぎる)と批判され、結果、クウェート政府が出した感謝広告には日本の名前は出ませんでした。

江田さんが文字にまでしていることからすると、間違いないのでしょうが、(私の不勉強かもしれませんが)初めてこのような事を知りました。

日本にも情報公開法があり、本来であればこれらの事実関係について確認するすべはあるはずなのですが、ほとんど機能していません。

昨年の福島第一原発の事故では、政府内の会議の議事録がほとんど作成されていないことは既に明らかになっていますし、ひょっとしたら意図的に作成していなかったのではないかとということもうわさされています。

事実を知ろうとした場合にウィキリークスのようなものに頼らなければならないのでしょうか?大変残念です。 

今夏の電力不足は58時間と関電が予測...それでも大飯原発再稼働?!

「関西電力の全原発停止が続いた場合、電力需要が昨夏並みだと、今夏に電力が足りなくなるのは計58時間で全体の2.8%となり、ほとんどの時間は電力不足を回避できる可能性があることが関電の公表データから11日、分かった」という。

http://www.chunichi.co.jp/s/article/2012041101001987.html (中日新聞412日)

それでも野田政権は大飯原発の再稼働を目指すようだ。消費税法案の最初から増税ありきと全く同じ構造だ。

大飯原発でも再稼働ありきで、物事を進めているようにしか見えない。

原発がすべてストップしてからでは、原発がなくても電力が賄えることがわかってしまうので、すべてストップする前に何とかして再稼働しようとしているのだろうか?

そうでも考えないと、何故そんなに急いで物事を進めようとしているのかが理解できない。

そのような折、小野俊一という熊本で開業医をされている方(医者になる前は東電の原子力関係の技術者だった方)の勉強会のビデオがYoutubeにアップされ話題になっているようだ。

http://www.youtube.com/watch?v=CSea1GLD2cA&feature=player_embedded#!

実際に東電の原発関係の技術者だった方ですので、原発推進派の意見とその本音がわかりやすく説明されていきます。

福島第一の現在の危険度(「メルトアウト」や「燃料プール」等の問題)からスタートして、津波ではなく、地震による「地盤変動」で原発がかなりダメージを受けていることや、福島では「重要免震棟」が不幸中の幸いに地震の6か月前に出来ていたのですが、今回再稼働の問題がある大飯原発では重要免震棟が無いと言った問題が提起されています。

使用済み燃料棒の危険性の問題も改めて提起されています。

また、大飯原発の再稼働の関係で、仮に再稼働がどうしても必要とした場合の、再稼働に向けての条件整備などが説明されています。

【Crossroad誌:掲載記事】 『光』(Light)(安田梓)(2012年4月号)

Crossroad誌:掲載記事】『光』(Light)(安田梓)(20124月号)

日本語と中国語のバイリンガル・マガジン『Crossroad誌』本年4月号に以下の記事が巻頭エッセーとして掲載されましたのでご紹介させていただきます。

毎月このような形で同誌の『巻頭エッセー』として、日本の若手アーティストを紹介する記事を書かせていただいております。同誌は、中国の華南地方(主として 広東省と香港)を中心に、ビジネス情報を主体としてはいますが、文化や芸術等様々な情報を発信している雑誌です。編集部は、広東省・深圳市にあります。

今回は「安田梓」さんの『光』(Light)という作品です。

作品タイトル:『光』(Light

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コメント:

暫く前にダン・ブラウン原作の『ダ・ヴィンチ・コード』がトム・ハンクス主演で映画化された。その作品は、ダ・ヴィンチが描いた「最後の晩餐」には、イエス・キリストはマグダラのマリアと結婚しており、磔にされた時、彼女はキリストの子供を身ごもっていた、という暗号(コード)が含まれているということから名前が付けられている。そこでは、マグダラのマリアはイエスの子供をもうけ、そしてイエスの血脈(聖杯)が今も存在しているという、イエスの血脈と聖杯にまつわる謎を解き明かしていくものだ。

カトリックを中心とした西洋キリスト教美術では、マグダラのマリアは聖母マリアと対照的な存在として描かれることが多い。聖母は超越的な奇跡的存在であり、最大級に理想化されたものとして描かれるが、マグダラのマリアはエモーショナルな存在を象徴する女性として描かれてきた。

今回の『光』(Light)という作品の作家は、自ら「聖地」秋葉原のコスプレ撮影会に参加して写真を撮影したり、あるいは友人に自前のコスチュームを着せて撮影し、自身が理想とするモデルを写真に投影させ、その写真をもとにして、自らの世界をキャンバスに展開していく、という。作家はその自らの「世界」を、「アンダーグラウンド」、「オタク」という言葉を使って表現したりしている。

メイド服を身にまとった少女は作家にとって、そして鑑賞者にとってどのような存在で、どのように映るのだろうか?

マグダラのマリアはイエスの死と復活を見届ける証人とされているが、カトリックでは「罪の女」として関連付けられることが多い。しかし、カトリックから異端とされる宗派では、古くからイエスには花嫁としてのマリアが存在していたとされ、イエスと同等に敬愛され尊重されてきた。

作家は、自らの製作活動を通じて理想の少女(女性)像を創造しようとしているのだろう・・・作家にとっては、「罪の女」としてではなく、イエスの花嫁として、そして聖なる女性として敬愛される女性と同じような存在だろう。この作品がメイド服というコスチュームにもかかわらず通俗的ではなく、何故か神々しく映るのも、そのような作家の想いによるところ大きいだろう。であれば、『光』という作品タイトルも自然と理解できる。

略歴

1985年生まれ

2008年: 女子美術大学絵画学科洋画専攻 卒業

個展

2008年: 「オタ日和」 (FUMA Contemporary Tokyo | BUNKYO ART)

グループ展

2011年: 「IN DEPTH」 (FUMA Contemporary Tokyo | BUNKYO ART)

2009年: 「ブンキョウアートコレクション展」 (FUMA Contemporary TokyoBUNKYO ART)

2008年: 「ブンキョウアートコレクション展」 (FUMA Contemporary TokyoBUNKYO ART)

Art Fairs

2009年: アート台北 2009 (台湾|台北)

2009年: アートフェア東京 2009 (東京国際フォーラム)

2008年: 東京コンテンポラリーアートフェア(東京美術倶楽部)

2008年: 上海アートフェア(中国|上海)

受賞歴

2006年: 「第53回全日肖」-入選

江田憲司著『財務省のマインドコントロール』・・・橋本発言は周到に準備されたものだった?!

江田憲司氏の『財務省のマインドコントロール』に、本の主たる内容からは若干外れるかもしれないが、非常に興味深い内容が書かれていた。

それは「米国債の償還金15兆円をなぜ使わない?」という項に書かれていることで、19976月のデンバーサミット後に、橋本総理がニューヨークに立ち寄った際に行った講演の質疑応答に関わるものだ。講演内容の詳細は後段で記載しますが、「何回か、財務省証券を大幅に売りたいという誘惑にかられたことがある」という橋本総理の「有名」な発言についてです。

この発言を受けて、NYSEの株価は192ドルと、ブラックマンデー以降の最大の下げを記録して、市場に大きな混乱をもたらしました。当時は、「橋本総理は経済音痴」という批判を呼びました。

私も文字通りそのように受け止めていたのですが、実は、周到に準備をしたうえでの発言であったというのです。

江田氏は、当時、橋本総理の政務担当秘書官として立ち会っていたそうで、当時の自身の日記なども紹介しています。その橋本総理の発言は、旧知の財務官経験者との打ち合わせの上で意図的に行ったもので、講演の冒頭で、「金融関係者はいないでしょうね」と冗談めかして言ったのも、相当インパクトのある発言であることがわかっていたからだそうです。

日本の外貨準備は積み上がるばかりで、現在の残高は本年3月末で12900億ドルに達しています。本来の目的からすればこのように巨額の外貨準備など必要ないはずで、必要以上に積み上がったものについてはタイミングを見ながら、適正な水準に調整する必要があるはずです。しかし、今までそのようなことは一切行われてきませんでした。それは、外貨準備が増加することで入ってきた資金で米国債を購入すること自体が目的化してしまったからで、それを減らすという考え自体が否定されてきたからでしょう。

昨年も安住大臣の下で、大きな為替介入が行われましたが、今や為替の市場介入自体が全く意味を成しません。一時的には対ドルでの円安方向へ動かすことは出来ても、時間の経過とともにすぐに戻ってしまいます。円高の原因を「投機的な動き」として、ヘッジファンドなどを批判するのですが、今や、日本政府が為替介入すること自体が、ヘッジファンドに「確実に儲ける機会」を与えてしまっています。今現在では、外貨準備は40%程度の含み資産を抱えているとみられています。つまり40兆円あまりが為替介入によって失われているわけです。

外貨準備の本来の目的やあり方を今一度見直す必要があるでしょう。

そのなかで、時々の政治状況によっても異なるわけですが、今回紹介されているように、少なくとも、公式ではないようですが、「意図的に外貨準備について米国に対してメッセージを送った」ことがあるということが分かったことは、大変興味深いことだと思います。中国のように、日本も、米国ともっと突っ込んだ本音ベースの話をできるようになってほしいものです。

以下、同著のなかから当時の橋本発言を転記させていただきます。

「ここに連邦準備制度理事会やニューヨーク連銀の関係者はいないでしょうね。実は何回か、財務省証券(米国債)を大幅に売りたいという誘惑にかられたことがある。ミッキー・カンター(元米通商代表)とやりあった時や、米国のみなさんが国際基軸通貨としての価値にあまり関心がなかった時だ。(財務省証券を保有することは)確かに資金の面では得な選択ではない。むしろ、証券を売却し、金による外貨準備をする選択もあった。

しかし、仮に日本政府が一度に放出したら、米国経済への影響は大きなものにならないか。財務省証券で外貨を準備している国がいくつかある。それらの国々が、相対的にドルが下落しても保有し続けているので、米国経済は支えられている部分があった。

これが意外に認識されていない。我々が財務省証券を売って金に切り換える誘惑に負けないよう、アメリカからも為替の安定を保つための協力をしていただきたい。」

大鹿靖明著『メルトダウン』・・・原賠法では国も免責される?!

311から1年が経過した。最近、大鹿靖明氏の『メルトダウン』という本を買って読んでいるのですが、第1部の『悪夢の1週間』では、身震いをするような1年前の記憶が思い起こされてきます。

今日、ここでは、第2部『覇者の救済』の中に描かれていた「原子力損害賠償法」(原賠法)第3条の問題について触れてみたいと思います。

これは、原発が事故を起こした際に、電力会社に賠償責任を負わすことを明記する一方で、「異常に巨大な天災地変又は社会的動乱によって生じたものであるときは、この限りではない」と、賠償に関する電力会社の免責規定を設けているというものです。東電の「救済」スキーム作成の際は、この免責条項が適用されるのかどうかが、随分議論となりました。

しかし、この『メルトダウン』で解説されていることを見ると、あの議論は一体なんだったのだろうか?と思ってしまいます。というもの、「異常に巨大な天災地変」の際には、電力会社に代わって賠償責任を負う「主体」がいなくなってしまう、というのです。更にいえば、電力会社が免責されるだけでなく、政府もその賠償責任を負わない、というのです。

原賠法では、第16条で、電力会社が単独では耐えられない損害賠償を追う場合には、政府が「必要な援助を行うものとする」と定めています。しかし、第16条の規定を超えるような「異常に巨大な天災地変」が起きた場合、原賠法は第17条で、政府は「被災者の救助及び被害の拡大の防止のため必要な措置を講ずる」としか書かれていないとのこと。法案提出時の国会質疑で、中曽根科技庁長官は、「災害救助法程度のことはやるという、最低限のことは言えると思いますが、それ以上は、その時の情勢によって、政府なり国会なりが決めることになるだろうと思います」と答えている。さらに、「第3条におきまする天変地変、動乱という場合には、国は損害賠償をしない、補償してやらないのです。関東大震災の3倍以上の大震災、あるいは戦争、内乱というような場合は、原子力の損害であるとかその他の損害を問わず、国民全体にそういう被害が出てくるものでありますから、これはこの法律による援助その他でなくて、別の観点から国全体としての措置を考えなければならぬと思います」としている。

そのような場合には、国全体に影響が出るから、もはや原賠法の出る幕ではない、その時になったら改めて考えるしかない、というような内容です。行ってみれば、法はそのような事態を想定していなかったということでしょう。

しかし、このような内容は今まで全く語られることはありませんでした。東電やマスコミなどが、このような事実を知らなかったとはとても思えません。東電の「救済」のために、電力会社の免責事項のみが語られるだけでした。しかい、これによって利益を得る人たちが他にもいました。「銀行」です。銀行は、原発事故直後に2兆円もの資金を追加的に貸し込んでいました。もし、法的整理などの事態になると大変なことになります。原賠法の内容が正しく解説されなかったのも、そのような勢力の存在があったからでしょう。

鳩山元首相はイスラエルや米国は訪問しないのだろうか?

鳩山元首相はやはりイランを訪問してしまったようだ。7日にはサレヒ外相と会談し、8日にはアハマディネジャド大統領とも会談する予定とのこと。http://sankei.jp.msn.com/politics/news/120408/plc12040809260004-n1.htm

しかし、何のために訪問したのか全く分からない。

サレヒ外相との会談で鳩山氏は、第2次大戦で広島と長崎に原爆が投下されたことに言及した上で「どの国も大量破壊兵器、特に核兵器を持つべきではない」と述べ、交渉を通じたイラン核問題の解決に期待を示した、とのこと。それに対して、サレヒ氏は、近く再開する見通しの国連安全保障理事会の5常任理事国にドイツを加えた6カ国との協議が「欧米との信頼関係を築く機会になるだろう」とした、とのこと。

何がわからないのかといえば、何故、イランだけを訪問するのかだ。日本に近い北朝鮮では、今まさに核問題が大騒ぎになっている。また、サレヒ氏が言及した国連安全保障理事会の5常任理事国とは、鳩山氏が言及したいわゆる「大量破壊兵器、特に核兵器」の保有国だ。イラン問題に限って言えば、イランだけでなく、関係するイスラエルや米国は何故訪問しないのだろうか?

「全員帰還」崩れる・・・今頃になってやっと認めた?!

福島第一原発事故で立ち入りを制限している区域について、長期にわたり住民の帰宅を認めない区域を設ける案が政府内で浮上してきたという。http://www.nikkei.com/access/article/g=9695999693819691E2E6E2E2E78DE2E6E2E6E0E2E3E09C9CEAE2E2E2

事故から既に1年を経過している。積算放射線量が50ミリシーベルトを超える地域も相当程度存在する。

地元の人たちにはつらい事実だろうが、現在の状況を考えたら、帰宅できると考えていた人たちは少ないのではないでしょうか…

この問題は、事故発生当初の「直ちに問題はない」発言と同様に、事実を伝えないで、ただただ根拠のない発言を繰り返していただけだ。

地元の人たちからすれば、帰りたいという気持ちが強いだけに、政府が「帰れる」といえば、だめかもしれないと思っても、一縷の望みを託してしまうというのはしょうがないでしょう。

しかし、空間線量も高いし、土壌は汚染されているし、原発には高濃度の汚染水や瓦礫が存在するし、また、大きな地震の発生が予想されていますが、もしそれが起こった場合には、福島第一原発の状況がさらに悪化して大惨事につながらないとは言えない状況です。

金銭的な補償問題などがあったのでしょうが、今後のことを考えると、事実をまず地元の人たちや国民にしっかりと説明することから始めなければいけないでしょう。

もし、政府が言うように、「冷温停止」して安定した状態で、また、放射線の問題もないというのであれば、福島の復興のために、国会や中央省庁を、原発に近い場所に移せばよいのではないでしょうか?

それによって、大規模工事が発生しますし、東京から多くの人が移らざるを得なくなり、本来なら減少するはずの人口が逆に増えるかもしれません。

「外遊」というが、本当に「外遊」にしないでほしい・・・政府総体としての対応が必要では?!

以前から違和感を強く感じている言葉に「外遊」がある。これは、政治家など公人の外国訪問に対して使われる言葉だ。

政治家などが外国を訪問するということであれば、しかも公費(国民が収めた税金)ですから、その目的も当然ながら公的な性格のものであると考えるのが普通でしょう。

しかし、通常は、国会が開催されない時期や日本が連休の時期などに、まさに「外遊」するということが多い。時に、ゴルフなどをして国会で問題になったりしている。

政治家の外国訪問については、しっかりとその目的も精査して、目的に沿った形での訪問を行ってほしいし、政治家個々人が勝手に「行きたいところ、行っていないところ」を訪問するのではなく、日本政府総体としてしっかりと国益にかなうように、コントロールしながら行ってほしい。

ところが、自民党政権時代に問題が無かったとは言わないが、民主党政権になってからは、政治家個々人が勝手に発言することが多いのは皆さんもよくご存じのとおりですし、政治家の「外遊」外国訪問でも目に余るものが散見される。

今日は、鳩山元首相がイランを訪問するということで、外相が不快感を示したという記事が流れている。鳩山氏は一体どのような目的で、何を話しに行くのだろう。

首相時代にも、問題発言を繰り返して結果的に対外関係(国内はもちろん)に大きな影響を与えてしまったと思うが、全く反省の色も見せていない。

民主党はもちろんだが、誰か意見する人はいないのだろうか?

→「こんな時期、鳩山氏がイラン訪問へ…外相不快感」http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20120404-OYT1T00891.htm

鳩山氏といえば、先月は、中国・北京を訪問して、習近平氏を訪問している。この日は鳩山氏とは別に訪れていた輿石訪中団も習近平氏を訪問しており、鳩山氏の面会は輿石訪中団の20分後だったという。なんと恥ずかしいことか・・・日本政府がこのような事を認めていること自体信じがたい。

それに対して、中国政府は一言も文句を言わず、日本側の事情をしっかりと理解して、20分後だろうが何だろうが、言われて通りにアレンジを行っている。

中国はしっかりと「大人の対応」をしている。この日本と中国の対応を見ていると、悲しいかな、とても中国にはかなわない、という気持ちにさせられる。

→「輿石訪中団と鳩山元首相、別々に習副主席と会談」http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20120324-OYT1T00136.htm?from=main4

 

『フクシマの嘘』というドイツで製作されたビデオ・・・日本のテレビでは見たことが無い?

中村忠之さんのブログで『フクシマの嘘』というドイツで製作されたビデオが紹介されていました。

原発に対する考え方は中村さんとは異なりますが、中村さんが言う「排他的なムラ意識」とその問題には賛同できます。

ビデオの内容は、この1年間にネットなどでは盛んに流されてきた情報ですが、「日本特有の原子力ムラ」の問題について映像としてコンパクトにまとめられています。

これを見て気付いたのですが、ネットでは盛んに流されてきた事柄が、テレビなどではこのようにまとまった形では報道されたことが無いということです。

まずは皆さんご覧になってください。

 ⇒パート1  http://www.youtube.com/watch?v=mKPpLpam6P0

 ⇒パート2  http://www.youtube.com/watch?v=uOgoZDDsRkc&feature=youtu.be

非常に気になったのは、菅直人氏がインタビューを受けており、原因及び問題は自身が首相に就任するよりずっと以前から行われてきたことにあると、まるで自分には責任が無いかのような発言を繰り返していることです。首相退任以降、新聞でも繰り返し主張していましたが、海外のメディアに対しても同じことを行っていたわけです。

事故が起こるまでのことに対しては、確かにその通りでしょうが、事故が起こってからのことに対してはどうなのでしょうか?

そのすべてを東電等の隠ぺい体質の問題にすり替えて、自身には全く責任が無いかのような発言をすることには、かなり違和感を感じます。

退任後もご自身は「脱原発」発言をされていましたが、もしそうであるならば、しっかりと行動で示していただきたいものです。

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