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【Crossroad誌:掲載記事】『光』(Light)(安田梓)(2012年4月号)
日本語と中国語のバイリンガル・マガジン『Crossroad誌』本年4月号に以下の記事が巻頭エッセーとして掲載されましたのでご紹介させていただきます。
毎月このような形で同誌の『巻頭エッセー』として、日本の若手アーティストを紹介する記事を書かせていただいております。同誌は、中国の華南地方(主として 広東省と香港)を中心に、ビジネス情報を主体としてはいますが、文化や芸術等様々な情報を発信している雑誌です。編集部は、広東省・深圳市にあります。
今回は「安田梓」さんの『光』(Light)という作品です。
作品タイトル:『光』(Light)
コメント:
暫く前にダン・ブラウン原作の『ダ・ヴィンチ・コード』がトム・ハンクス主演で映画化された。その作品は、ダ・ヴィンチが描いた「最後の晩餐」には、イエス・キリストはマグダラのマリアと結婚しており、磔にされた時、彼女はキリストの子供を身ごもっていた、という暗号(コード)が含まれているということから名前が付けられている。そこでは、マグダラのマリアはイエスの子供をもうけ、そしてイエスの血脈(聖杯)が今も存在しているという、イエスの血脈と聖杯にまつわる謎を解き明かしていくものだ。
カトリックを中心とした西洋キリスト教美術では、マグダラのマリアは聖母マリアと対照的な存在として描かれることが多い。聖母は超越的な奇跡的存在であり、最大級に理想化されたものとして描かれるが、マグダラのマリアはエモーショナルな存在を象徴する女性として描かれてきた。
今回の『光』(Light)という作品の作家は、自ら「聖地」秋葉原のコスプレ撮影会に参加して写真を撮影したり、あるいは友人に自前のコスチュームを着せて撮影し、自身が理想とするモデルを写真に投影させ、その写真をもとにして、自らの世界をキャンバスに展開していく、という。作家はその自らの「世界」を、「アンダーグラウンド」、「オタク」という言葉を使って表現したりしている。
メイド服を身にまとった少女は作家にとって、そして鑑賞者にとってどのような存在で、どのように映るのだろうか?
マグダラのマリアはイエスの死と復活を見届ける証人とされているが、カトリックでは「罪の女」として関連付けられることが多い。しかし、カトリックから異端とされる宗派では、古くからイエスには花嫁としてのマリアが存在していたとされ、イエスと同等に敬愛され尊重されてきた。
作家は、自らの製作活動を通じて理想の少女(女性)像を創造しようとしているのだろう・・・作家にとっては、「罪の女」としてではなく、イエスの花嫁として、そして聖なる女性として敬愛される女性と同じような存在だろう。この作品がメイド服というコスチュームにもかかわらず通俗的ではなく、何故か神々しく映るのも、そのような作家の想いによるところ大きいだろう。であれば、『光』という作品タイトルも自然と理解できる。
略歴:
1985年生まれ
2008年: 女子美術大学絵画学科洋画専攻 卒業
個展
2008年: 「オタ日和」 (FUMA Contemporary Tokyo | BUNKYO ART)
グループ展
2011年: 「IN DEPTH」 (FUMA Contemporary Tokyo | BUNKYO ART)
2009年: 「ブンキョウアートコレクション展」 (FUMA Contemporary Tokyo|BUNKYO ART)
2008年: 「ブンキョウアートコレクション展」 (FUMA Contemporary Tokyo|BUNKYO ART)
Art Fairs
2009年: アート台北 2009 (台湾|台北)
2009年: アートフェア東京 2009 (東京国際フォーラム)
2008年: 東京コンテンポラリーアートフェア(東京美術倶楽部)
2008年: 上海アートフェア(中国|上海)
受賞歴
2006年: 「第53回全日肖」-入選
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