【Crossroad誌:掲載記事】 『ツルコケモモの前で』(寒河江智果)(2012年8月号)
日本語と中国語のバイリンガル・マガジン『Crossroad誌』本年8月号に以下の記事が巻頭エッセーとして掲載されましたのでご紹介させていただきます。
毎月このような形で同誌の『巻頭エッセー』として、日本の若手アーティストを紹介する記事を書かせていただいております。同誌は、中国の華南地方(主として 広東省と香港)を中心に、ビジネス情報を主体としてはいますが、文化や芸術等様々な情報を発信している雑誌です。編集部は、広東省・深圳市にあります。
今回は、「寒河江智果」さんの『ツルコケモモの前で』という作品です。
作品タイトル:『ツルコケモモの前で』
コメント:
寒河江智果さんは、現代の美人画を描く作家です。女性からは、「この絵みたいな女性になりたい。憧れ。」と思われるような作品を描いてみたいそうです。
現代では、「美人」といえば通常は女性のことですが、もともと「人」という字は男性を社会的に指すことが多かったようで、古語では女性ではありませんでした。また、時代時代で美人(美女)の基準も大きく変わってきているようです。時代が同じでも地域や文化の違いでも、その基準は大きく異なるようです。
中国では、四大美人と呼ばれる女性たちがおり、多分、日本ではその中で楊貴妃が一番知られていると思いますが、最近では、彼女が実際はかなりふっくらした女性であったことが分かってきています。彼女は唐の時代の人ですが、その直前の隋の時代まではどちらかといえば柳腰の細くてスリムな女性が美人とされていたようで、わずか30~40年でその基準が変わってしまっていることになります。
先ほどの中国の四大美人とは、西施(春秋時代)、王昭君(漢)、貂蝉(後漢)、楊貴妃(唐)のことです。彼女たちのその美しさは、「沈魚落雁・閉月羞花」という四字熟語であらわされています。西施には、彼女が川で洗濯する姿を魚たちが見て泳ぐのを忘れてしまったという言い伝えがあり、王昭君は、彼女の姿と悲しい調べに魅入られて雁が次々と空から落ちてきたとされ、蝶蝉は、彼女が物思いにふける姿の美しさに、月が恥じて雲に隠れてしまったとされ、更に楊貴妃は、彼女が後宮を散歩すると、庭の花が気圧されてしぼんでしまったと言われており、それらが四字熟語になったものです。
その中で、貂蝉は三国志演義の呂布や董卓と絡めて出てくるのでご存知の方も多いのですが、架空の人物の可能性が高いようです。また、美人というのは、時の権力(争い)とも関係することが多く、その美しさそのものが原因で、「傾国」の美人とも呼ばれる人が多くいます。先の4人で言えば、西施、貂前、楊貴妃がそう呼ばれています。
さて、寒河江さんは、これからどのような美人を描いていくのでしょうか?「現代の空気感」という言葉を使われていますが、日々の生活を、一生懸命、前を向いて、明るく頑張っている女性たちなのではないでしょうか?・・・うーん、これは私自身が既に寒河江マジックにかかってしまっているかもしれないですね・・・
略歴
1977年 東京都に生まれる
2001年 女子美術大学絵画科日本画専攻卒業
個展
1999年 ピガ原宿画廊2
2000年 ギャラリー銀座フォレスト ’03、’04、’05
2001年 吉祥寺ギャラリー ’02、’03
2006年 「蝶よ花よ」ギャラリーアートもりもと(銀座)
2007年 「花恋」ラブスク・ギャラリー(新宿)
2008年 「CATS & GIRLS」gallery nike(銀座)
「日本画による現代の美人画」西武渋谷店プラチナサロン
2009年 「秋の花園」gallery nike(銀座)
2010年 「愛逢月」ギャラリーアートもりもと(銀座)
2012年 「若葉・若草」ギャラリーアートもりもと(銀座)
グループ展他
1999年 ササタコ展 (ギャラリー銀座フォレスト)
SHAN SHAN 2000年春夏コレクション用DMイラスト&パターンイラスト担当
2002年 私の愛する一点展 (梅野記念絵画館、ギャラリー和田・銀座)
児童文芸絵本ギャラリー2002出品 ’03、’05、’06、’07
2003年 トーキョーワンダーサイト0号展入選
2006年 フリーマガジン「東京働女100」(発行/(有)ハンドレッド)の表紙を担当する
2008年 アートフェア東京2008/ギャラリーアートもりもとブース(東京国際フォーラム)
カオの形・貌展(gallery nike・銀座) ’09、’10
「コンテンポラリーアートフェア/シブヤスタイルvol.2」西武渋谷店
2009年 アートフェア東京2009/ギャラリーアートもりもとブース(東京国際フォーラム)
「コンテンポラリーアートフェア/シブヤスタイルvol.3」西武渋谷店