先日、中国の地方政府関係者から連絡が有り、「経済交流は国交回復以前の状態」との発言があった。
「国交回復以前」とは穏やかではない表現で、かなりの衝撃だった。しかし、中国側でも日本と何らかの関係を持っている人たちは、(表向きには政府の意を受けた発言をしなければならないとしても)今回の尖閣問題の影響について危機感を持っているということだろう。また、これが「経済交流」だけに限ったことでないのは明らかだ。中国地方政府(特に沿海部)が行う日本企業向けの行政サービスにも影響がありそうで、一部業務の休止ということも検討がされる可能性もあるかもしれない。
問題は、野田首相をはじめ日本の政治家には全く危機感がないことです。日本側から出てくることは、逆に、中国側を刺激することばかりです。玄葉光一郎外相の会見では、アジア欧州会議(ASEM)首脳会議の際に、「法の支配、平和的アプローチは大変重要な観点だ」とも述べ、南シナ海で領有権問題を抱える東南アジア各国などとともに、中国の海洋進出に自制を促す考えを示した、とのこと。
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/121031/plc12103112590004-n1.htm
これでは、先の国連総会で、野田首相が行った演説と同じで、また中国を挑発することにもなりかねません。
中国側の主張を全く理解できていないことも非常に憂慮されます。
尚、経済についてのみコメントするとすれば、個々人のベースでは、日本に対して特段のイメージを持っていなくても、国全体の方針と異なる行動をとるのは一般的には難しくなってしまう。
先日(10月19日)のレコードチャイナの調査では、尖閣問題が今後の日本車購入に影響を与えるかという問いに、60%が「はい」と回答している。
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=65678
既に、日本企業が数多く中国には進出しており、すぐに撤退ということもかなわない状況で、今あるものは何とは続けていかなければならないでしょうが、
新規に何かを行うということは、基本、すべてがストップしそうです。
製造業などでは、バングラデシュやミャンマーなどが注目されていますが、産業インフラということを考えると、多くの企業が進出するにはまだ多少時間がかかりそうです。
最近は、製造業よりも、サービス産業が、国内市場の縮小を受けて、消費市場としての中国に進出し始めていますので、中国人の消費行動の変化は大きな影響が出そうです。
以下、関連記事を添付します。日本に「思い知らせるには長い時間が必要」との発信も出ています。
<尖閣問題>それでも日本車買えますか?25%が「不安」と回答 (レコードチャイナ 10月19日)
・中国自動車工業協会発表の9月期自動車販売台数によると、日本車は前年同月比マイナス40%という大きな落ち込みを見せている。
・重慶晨報は北京、上海、広州、西安、重慶、成都の6都市で調査を実施、尖閣問題が今後の日本車購入に影響があるかとの質問には約60%が「はい」と回答。不安に感じるとの回答は約4分の1。
・ただ、今後は日本車を購入する人が増えるだろうとの回答も63%に達している。
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=65678
<尖閣問題>日本経済にどんな影響を及ぼすのか、思い知らせるには長い時間が必要 (レコードチャイナ)
2012年10月28日、日本の9月の貿易総額が過去30年で最低の水準となったことを受け、中国国防大学戦略研究所の金一南(ジン・イーナン)所長は「中国と対立するとどういうことになるのか、日本に思い知らせるには長い時間が必要だ」と論じた。中国広播網が伝えた。
金氏は、尖閣諸島(中国名・釣魚島)問題が日本経済に重傷を負わせたとの見方が広まっていることに対し、「日本の『国有化』が中日関係の基礎を崩した。しかも、日本はいまだにそれを認めようとしない」と非難した上で、「中国との対立が自らにどれほど大きな損害を与えるのか、日本に心の底から思い知らせるには長い時間が必要だ」と指摘した。
また、金氏は日中関係悪化の影響は政治、外交、経済、人の往来など多方面に及ぶとした上で、「痛手を受けた日本がどこまで悔い改めるのか。われわれは客観的かつ冷静に見ていく必要がある。それには、わずか1~2カ月では短すぎる。隣国とのいざこざが自国の経済や発展にどれほど大きな影響を与えるのか、じっくり時間をかけて日本の政治家の目を覚まさせるべきだ」との見方を示した。
http://news.livedoor.com/article/detail/7091141/