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【Crossroad誌:掲載記事】 『自慢のフォーク』(横川ヨコ)(2013年6月号)
日本語と中国語のバイリンガル・マガジン『Crossroad誌』本年6月号に以下の記事が巻頭エッセーとして掲載されましたのでご紹介させていただきます。
毎月このような形で同誌の『巻頭エッセー』として、日本の若手アーティストを紹介する記事を書かせていただいております。同誌は、中国の華南地方(主として 広東省と香港)を中心に、ビジネス情報を主体としてはいますが、文化や芸術等様々な情報を発信している雑誌です。編集部は、広東省・深圳市にあります。
今回は、「横川ヨコ」さんの『自慢のフォーク』という作品です。
作品タイトル: 『自慢のフォーク』(Acrylic on canvas 1620×1303mm, 2010)
コメント:
昔の子供たちの遊びといえば「怪獣ごっこ」や「スーパー戦隊ごっこ」であろうか?!怪獣が登場したのは、1966年からスタートした「ウルトラQ」や「ウルトラマン」からで、そのウルトラシリーズによって「怪獣ブーム」が始まった。それまで子供たちの遊びといえば「忍者ごっこ」であったが、それが「怪獣ごっこ」に変わっていった。怪獣ブームは一種の社会現象のようになり、教育ママを文字って「ママゴン」なるものまで登場した。
1975年には、「秘密戦隊ゴレンジャー」が登場して、スーパー戦隊ブームが到来する。このスーパー戦隊ものは、主人公と数名のチームが、色分けされたマスクとスーツで武装したヒーローに変身し、怪人と戦うというコンセプトで、名前や内容を少しずつ変えながら、現在でも放映されており、依然として子供たちには大人気だ。
ただ、子供たちの遊びそのものは、この数十年の間に大きく変化しているようだ。遊びの場が「外」から「内」へ変化したこと、「一人で遊ぶ」ことが多くなったこと、そして以前にはなかった「テレビゲーム」の登場が大きな変化の原因となっている。多くの識者が指摘するのは、現代の子供たちが、自分で面白さを見つけたり、探し出したりするのが、不得手になっているのではないかということだ。テレビゲームは、基本的にあそび方が決まっていて、遊び方自体あるいはそのルールを変更することはできない。つまり、モノに遊びが規定されてしまうということになるし、みんなが同じ枠内での面白さを求めていることになる。遊びの変化は、子供たちにどのような変化を及ぼしているのだろうか?
さて、横川ヨコの「フシギ共和国」ではどうだろうか?「フシギ共和国」には、子供しかいないのだろうか?頭にステーキやパンを乗せているのはなぜだろうか?いつも無機質な表情をしているのはなぜだろうか?子供たちの間に緊張感が漂っているのはなぜだろうか?
「フシギ共和国」の子供たちは、「奔放」だ。そして「一人ではない」。良くも悪くも「他者とのつながり」を感じる。また、一見、無茶なことをやっているようで、何か秩序のようなものがあるようでもある?!それらの表れ方が、「戦い」であろうと、「微妙な(緊張)関係」であろうと、社会というのは、そのような関係・つながりから成り立っているものだし、それでないと人など存在していないに等しい。「フシギ共和国」の子供たちは、現代の子供たち、否、私たち現代人が失ったものを突きつけているのではないだろうか?
略歴:
1983年 愛知県生まれ
2008年 東京芸術大学美術学部デザイン科卒業
個展
2011年 「ピクニック」(たけだ美術、銀座)
グループ展
2010年 「シェル美術賞展2010」(代官山ヒルサイドフォーラム、東京)
2011年 「東日本大震災復興支援チャリティ『Art for Tomorrow』」(トーキョーワンダーサイト渋谷、
東京)
「ガラパゴス・ファイン2」(たけだ美術、銀座)
2012年 「シェル美術賞展2012」(国立新美術館、東京)
受賞歴
2006年 世界ポスタートリエンナーレトヤマ2006 入選
2010年 シェル美術賞2010 入選
2012年 シェル美術賞2012 グランプリ
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