【Crossroad誌:掲載記事】 『KiyaKiya - Drawing 16』(近藤聡乃)(2013年10月号)
【Crossroad誌:掲載記事】 『KiyaKiya – Drawing 16』(近藤聡乃)(2013年10月号)
日本語と中国語のバイリンガル・マガジン『Crossroad誌』本年10月号に以下の記事が巻頭エッセーとして掲載されましたのでご紹介させていただきます。
毎月このような形で同誌の『巻頭エッセー』として、日本の若手アーティストを紹介する記事を書かせていただいております。同誌は、中国の華南地方(主として 広東省と香港)を中心に、ビジネス情報を主体としてはいますが、文化や芸術等様々な情報を発信している雑誌です。編集部は、広東省・深圳市にあります。
今回は、「近藤聡乃」さんの『KiyaKiya – Drawing 16』という作品です。
作品タイトル: 『KiyaKiya – Drawing 16』
コメント:
地球から見える最も明るい星のひとつに大犬座のシリウスがあります。シリウスは、かねてより人類文明の誕生と密接に関わってきたといわれており、エジプトのピラミッドやスフィンクスとの関係も指摘されています。
このシリウスは、太陽系から8.6光年離れており、シリウスA及びシリウスBの2星からなる実視連星ですが、シリウスAが極めて明るいために、伴星であるシリウスBを見ることは困難です。このシリウスBは白色矮星として知られ、質量は太陽と同じくらいなのに、容積は10000分1です。つまり重力が極めて大きい重力の塊のような星なのです。その重力の塊のようなシリウスBは別名をデジタリアと言い、様々な生命現象に関わる情報が記録されているといいます。
最近になって、このシリウスにはシリウスCが存在することがわかってきており、それが3600年の周期を持つという惑星ニビルです(昨年末に騒がれたのはトンデモ情報でした)。このニビルは、3600年の周期で地球に近づいて、シリウスBに記録されている情報を地球にもたらします。私たちが衛星放送で、いろいろな番組を視聴するように、ニビルには様々な周波数の情報が無数のチャンネルとして蓄積されており、私たちはどのようなことが知りたいかによってチャンネルを合わせると、知りたい情報がダウンロードされてきます。
人類文明には、そのように人類が必要とする様々な情報が、「天空」からダウンロードされることによってもたらされたのではないか、という説を唱える人たちがいます。
ニビルに記録された情報には、太古の情報から、まさに昨日や今現在起こっていることの情報もあるでしょうし、ひょっとすると未来の情報も記録されているかもしれません。アインシュタインの特殊相対性理論などからすれば、シリウスBのように重力の塊のような場では、時間の概念そのものがなきに等しいような状態となってしまうでしょう。
時間の概念さえもなきに等しいような10次元の宇宙空間からもたらされる情報を受け取ったときに私たちはどのようになってしまうのでしょうか?ダウンロードされる情報には、過去のものから未来までの情報があり、私たちはそれを4次元の場で受け取ることになります。その際に、私たちの精神あるいは意識はどのように反応するのでしょうか?
近藤の「KiyaKiya」という作品では、時間や空間の異なる複数(アニメーションでは3つ)の物語が進行していきます。そしてそれらは、あるところではつながったり、あるいはまた離れていったり、という具合に複雑に絡み合い、そして関係しあって、進行していきます。それらは過去から未来へといった一方方向ではなく、おそらく未来から過去へといった時間の流れもあることでしょう。本作品は、アニメーションには登場しない時間と空間ですが、このような時間と空間はこれから次々と新たに生まれてくることでしょう。そして、その存在は、それぞれが「唯一の大事なもの」ではあるのですが、それは「無数に存在」し、まさに「Life of Flowers」のように、それぞれがその存在を主張すると同時に、お互いが融合しあって今後も展開されていくことでしょう。
略歴:
1980年 千葉県生まれ
2003年 多摩美術大学グラフィックデザイン学科卒業
2008年 ニューヨーク在住
主な個展:
2013年 「KiyaKiya 1/15 sec.」ミヅマアートギャラリー/東京
「KiyaKiya アニメーション原画展」六本木ヒルズA/Dギャラリー/東京
「KiyaKiya 1/15 sec.」 galleri s.e/ベルゲン、ノルウェー
主なグループ展:
2013年 「The Garden of Forking Paths: Exploring Independent Animation」OCAT, OCT Contemporary Art Terminal Shangha/上海、中国
2010年 「DOMANI - The Art of Tomorrow 2010 Exhibition」国立新美術館/東京
「You Tube Play: Biennale of Creative Video」グッゲンハイム美術館/ニューヨーク、アメリカ
ミュージアムコレクション:
Asia Society、ニューヨーク、アメリカ
川崎市民ミュージアム、神奈川
森美術館、東京