HOME > 新井信介 「京の風」 > 時事問題 > 神社本庁内紛。「そんなこと(天皇誕生の解明)したら、日本の神社界が壊れるぞ」。あれから13年。その通りに。
今年春、神社本庁が、日本皇室の権威のもとである、宇佐神宮を直轄した。
宇佐神宮の祭神ホムダワケ(応神天皇)は実在の人物で、宇治に都を開き、羽曳野には、その陵墓(誉田丸山陵)があった。今でもその人物を弔う習慣が続いている。それを、宇佐の地で「ホムダワケこそ八幡神だ」としたのが、568年の大神比義だった。そこに社殿が造られたのは、聖武天皇が即位した翌年の725年で、これは勅命だった。以後、ここの神社は宇佐八幡とも呼ばれ、日本皇室の「神威」の元とされてきた。これは政治的「神威」で、東大寺大仏の造像と、道鏡事件で示され、平安時代になって完全に「権威」となり、これは、江戸時代にも続き、伊勢神宮の上位の位置づけだった。
その宇佐神宮から、神社本庁が社家を排除し、直接、押さえたが、そもそも神社本庁とは何だったのか?
本当に、イノチの本質、神の神聖さを、この大八州(日本列島)の人間世界の暮らしの中に、現実に生かす、「随神(かんながら)」の本部だったのか?
そもそも、神社本庁のいう、「神」とは、何だったのか? 単なる、賽銭稼ぎだったのか?
神社本庁という組織は、明治維新の直後に神道諸派を結集させた神道事務局が出発だった。その核は、伊勢神宮の少宮司が当たり、ここに皇典講究所が生まれ、皇国史観が整備された。神道事務局は1884年、神社本局となった。これが国家神道の総本部となり、戦中の1940年に神祇院へと発展した。
しかし、戦後、GHQの神道指令が出されると、大日本神祇会、皇典研究所、神宮奉賛会の三団体がまとまって、アマテラスをご本尊にする、神社本庁となった。これは、「信仰の自由」の中の、一宗教団体の位置づけだった。
戦後になっても、天皇が、いかにしてできたのか、皇祖神アマテラスとは何か? 普遍的な神(宇宙摂理)とどう関わるのか? 近代知性の出発である「自然理性」で、列島内で、権威となった神ついては、まるで考えず(人間個人の尊厳と、超越者・神・国家・文化の関係を、普遍的な基準で思考しないで)、戦前の皇国史観のまま存続させ、全国の神社を束ねる組織となり、神社利権の頂点にあった。
そこから、今、内部告発が始まった。
これは、今上陛下の高麗神社行幸と同じ次元で、
日本神道での「神」について、何が実態のある(実存する)本質で、
何が政治的な虚構か、を明らかにするように迫っている。
「うちの先祖が天皇を作った」といっていたのが、イカヅチこと金井敏伯氏。私があったのが、2004年の年末。
「日本の天皇がどうやって誕生したか、世界史の中で明らかにしたい」と言ったら、「そんなことしたら、神社界が壊れるぞ」。あれから13年。本当に、日本の神社界が壊れだした。
以下は、時事通信から。
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神社本庁を元部長ら提訴=「内部告発で不当解雇」-東京地裁
全国約8万の神社を取りまとめる宗教法人「神社本庁」(東京都渋谷区)の部長だった稲貴夫さん(57)らが、不動産売買をめぐる内部告発を理由に不当解雇されたとして、神社本庁に地位確認などを求める訴訟を17日、東京地裁に起こした。
訴状によると、神社本庁は2015年、川崎市の職員寮を1億8400万円で都内の不動産会社に売却。別の業者に即日転売されたことから、役員会で取引の不透明さが指摘された。
総合研究部長だった稲さんは16年、事実解明を求める文書を副総長に提出したが、「一方的な思い込みで疑義を唱えた」として今年8月に懲戒免職とされた。売却額を問題視した元財政部長も降格処分を受けたという。
原告側は「上層部は過去にも同じ会社に不動産を売却しており、癒着が疑われる」と主張。提訴後に記者会見した稲さんは「神社本庁の正常化のきっかけになればと思い、提訴に踏み切った」と話した。
神社本庁の話 弁護士と相談して対応する。(2017/10/17-18:29)
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