【2024年:新年のご挨拶】
《新春のお慶びを申し上げます》
2024年はアベノミクスの亡霊が消え去るのか?
2024年は十二支では辰年。遡ると2012年の辰年は安倍政権が誕生してアベノミクスがスタートした年でした。アベノミクスと いっても、既にアベノミクスという言葉を忘れかけている方も多いでしょう。しかし干支が一回りしてもまだアベノミクスは終わっていません。支持率が下がって、いつまで持つかと言われる岸田首相ですが、今一番意識しているのはアベノミクスで目指して いた「デフレからの脱却」とも言われています。政権発足以来「新しい資本主義」「所得倍増(その後資産所得倍増)」など次々と新しい政策目標を打ち出してきましたが、その後、具体的なものが出てきておらず、「やるやる詐欺」とも言われています。 せめてレガシー作りとして安倍氏でも成しえなかったことを実現したと言いたいのでしょうか?!
金融面でのアベノミクスを考えてみると、もともと「世界的に壮大な実験」だったはずのもので、安倍氏がこの世を去ってから1年半、そして黒田氏から植田氏に日銀総裁が変わってから1年にならんとし、さらには干支も一回りするにもかかわらず、まだ 継続されています。植田日銀では過去の金融緩和の検証作業を始めているようですが、あえて言えば、さらに検証していただきたいことがあります。アベノミクスでは、「三本の矢」として、「金融政策」、「財政政策」、「成長戦略」を打ち出しました。本来やるべきだったのは成長戦略だったと思いますが、金融戦略と財政戦略が中心となり、「デフレ脱却」ということで金融戦略がさらに注目されることとなり、異次元の量的・質的金融緩和となっていきました。国債発行残高の60%近くを日銀が保有するという 国債の爆買いによる事実上の財政ファイナンスが国家予算に組み込まれてしまいました。2023年には米国債の格付け見通しが引き下げられましたが、日本国債は大丈夫なのでしょうか?
しかし、そもそも金融や財政政策で経済を成長させることができるのでしょうか?リーマンショックやコロナ禍で傷んだ経済を 一時的に回復させることはできるかもしれませんが、「成長」させることはできないのではないでしょうか?2023年末には いわゆる裏金問題も起こり、アベノミクスの番人のようだった安倍派の影響力も低下する可能性もあり、日銀に裁量の余地が 生まれるでしょう。岸田首相が財政を平時に戻すとしながらバラマキに宗旨替えするなど政治との距離感は難しいでしょうが、 日銀の管掌ではない為替に口先介入などせずに、ぜひ、今までの政策を多面的に検証の上、2024年は政策転換の年として 欲しいものです。そうでなければ、干支一回りどころか、「失われた35年」になってしまうかもしれません。
株式会社K2O 室伏 昭昌
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