東アジア経済統合、ASEANが研究資金負担:日本が何もしないということを見透かされている
本日の日経新聞に「東アジア経済統合、ASEANが研究資金負担」という小さな記事が載っていた。
これは、東南アジア諸国連合(ASEAN)10カ国が、これまで日本が大半を負担してきた東アジア・ASEAN経済研究センター(ERIA)の運営費用を来年度から一部負担することになった、というものだ。ERIAとは、2007年11月の第3回東アジアサミットの議長声明等を受け、2008年6月3日には、ASEAN事務局(ジャカルタ)において設立総会が開催され、正式に設立された国際研究機関で、東アジアの経済統合に資する政策研究および統計資料の整備などを通じた政策提言活動を実施することを目的としている。
ASEANは11月の経済大臣会合で資金拠出を決め、11月のASEAN首脳会合で、日中韓印豪ニュージーランドの6カ国を加えた計16カ国で自由貿易圏の構築を目指す方針で一致した。今後、貿易圏づくりが具体化すれば、ERIAの研究成果を活用する機会も増えると判断したようだ。
もともと、このERIAは、東アジア域内の持続的経済成長のためにということで、2006年に、二階経済産業大臣(当時)が提案した「東アジア版OECD」構想が、実現したものだ。しかし、日本は、本当にこの構想を進める覚悟があるのだろうか?このような多国間交渉に限らず、二国間交渉においても、国内の反対論が強く、ほとんどが全く前に進まない。
現在、問題となっているTPPにしても、もともとは日本が提案したものだ。1979年に、大平首相(当時)が提案した「環太平洋連帯構想」がもととなっている。もう30年も前の話だ。その後、様々な会議や提案などがあったが、その精神は引き継がれて、1994年の「ボゴール宣言」で具体的な目標が示され、先進国は2010年まで、途上国は2020年までに貿易と投資の自由化を行うことが決定されたのだ。また、その翌年には、大阪で開催されたAPECで行動指針が決定された。
現在は、大きな政治問題になっているが、TPPはそもそも日本が提案して、具体的な交渉指針も日本が主導して決定したものだ。しかし、その後は、実現に向けた動きは全くなされずにここまで来てしまっている。
今回の、ERIAに関するASEANの動きも、日本は何もしないのではないかというASEAN側の危機感がもたらしたものではないか?鳩山さんの東アジア共同体構想もそうだったが、日本は口先ばかりのパフォーマンスばかりで、いざとなると何もしないというように見られているのではないか?しかし、今や状況が変わって、日本が何もしないのであれば、日本抜きで物事は進んでしまうだろう。