2011年11月/日々雑感:よくわからないこと?!

2011年11月

東アジア経済統合、ASEANが研究資金負担:日本が何もしないということを見透かされている

本日の日経新聞に「東アジア経済統合、ASEANが研究資金負担」という小さな記事が載っていた。

http://www.nikkei.com/news/category/article/g=96958A9C93819481E0E7E2E1888DE0E4E3E3E0E2E3E39797EAE2E2E2;at=DGXZZO0195570008122009000000

これは、東南アジア諸国連合(ASEAN10カ国が、これまで日本が大半を負担してきた東アジア・ASEAN経済研究センター(ERIA)の運営費用を来年度から一部負担することになった、というものだ。ERIAとは、200711月の第3回東アジアサミットの議長声明等を受け、200863日には、ASEAN事務局(ジャカルタ)において設立総会が開催され、正式に設立された国際研究機関で、東アジアの経済統合に資する政策研究および統計資料の整備などを通じた政策提言活動を実施することを目的としている。

ASEAN11月の経済大臣会合で資金拠出を決め、11月のASEAN首脳会合で、日中韓印豪ニュージーランドの6カ国を加えた計16カ国で自由貿易圏の構築を目指す方針で一致した。今後、貿易圏づくりが具体化すれば、ERIAの研究成果を活用する機会も増えると判断したようだ。

もともと、このERIAは、東アジア域内の持続的経済成長のためにということで、2006年に、二階経済産業大臣(当時)が提案した「東アジア版OECD」構想が、実現したものだ。しかし、日本は、本当にこの構想を進める覚悟があるのだろうか?このような多国間交渉に限らず、二国間交渉においても、国内の反対論が強く、ほとんどが全く前に進まない。

現在、問題となっているTPPにしても、もともとは日本が提案したものだ。1979年に、大平首相(当時)が提案した「環太平洋連帯構想」がもととなっている。もう30年も前の話だ。その後、様々な会議や提案などがあったが、その精神は引き継がれて、1994年の「ボゴール宣言」で具体的な目標が示され、先進国は2010年まで、途上国は2020年までに貿易と投資の自由化を行うことが決定されたのだ。また、その翌年には、大阪で開催されたAPECで行動指針が決定された。

現在は、大きな政治問題になっているが、TPPはそもそも日本が提案して、具体的な交渉指針も日本が主導して決定したものだ。しかし、その後は、実現に向けた動きは全くなされずにここまで来てしまっている。

今回の、ERIAに関するASEANの動きも、日本は何もしないのではないかというASEAN側の危機感がもたらしたものではないか?鳩山さんの東アジア共同体構想もそうだったが、日本は口先ばかりのパフォーマンスばかりで、いざとなると何もしないというように見られているのではないか?しかし、今や状況が変わって、日本が何もしないのであれば、日本抜きで物事は進んでしまうだろう。

払い過ぎの年金7兆円、減額が予算編成の焦点に :「微調整」も必要だが、もっと根本的な「世代間調整」を

「年金減額」という言葉が新聞紙面に載るようになった。今までは出ても極めて小さな扱いだったが、政策仕分けでも取り上げられた問題だ。

これは過去の物価下落時に支給額を下げなかったために払い過ぎになっている「特例水準」を本来水準に戻す目的で年金を減額するというもので、いわゆる「物価スライド」と言われるものだ。

本来、公的年金では、物価スライドを適用することになっているのだが、ここ10年以上にわたって、適用されておらず、このために7兆円余りが払い過ぎの状態となっている。http://www.nikkei.com/news/category/article/g=96958A9C93819691E0E6E2E29A8DE0E6E3E3E0E2E3E39C9CEAE2E2E2;at=ALL

「年金減額」といっても、これはあくまでも政権与党が国民の支持が低下することを恐れて、本来行わなければならない物価スライドという時々の「微調整」を行わなかったがために、払い過ぎになっているというものだ。しかし、「年金減額」というのであれば、もっと本質的な、年金の給付額そのものが適正な金額であるかどうかを議論しなければならないはずだ。

野田首相は、増税を行うための方便として「次世代にツケを先送りしない」というようなことを言っている。しかし、この年金問題の方が問題はより深刻だし、実際問題として「世代間の負担」がきわめて偏った形になってしまっている。高齢者の方々には、大変申し訳ないのですが、現在の賦課方式を現状のまま維持することはもう不可能です。受給年齢をさらに遅くするということなども検討されていますが、それよりも前に、物価スライドというような「微調整」ではなく、もっと根本的な「世代間の負担」についての見直しをするべきではないかと思います。

年金関係については、以前のブログももしよろしければご覧ください。

→→「年金支給開始年齢引き上げ先送りへ:しかし、そもそも論として、約束が違いすぎるのでは?」

→→「年金、デフレの罠 「もらい過ぎ」6年で15兆円: 将来世代への負担の先送りはやめよう」

→→「年金支給開始年齢 引き上げ検討へ:それよりもまずは給付額削減や物価スライドの厳格な適用を」

政策仕分けで電波オークション早期導入が提言:一旦つぶされたオークション帆意識を復活させられるのか、野田首相の真実の姿がこれによってわかる

1121日に行われた政策仕分けで電波オークションの早期導入が提言されたという。http://sankei.jp.msn.com/politics/news/111121/plc11112118020009-n1.htm

政策仕分けについては、昨日のブログでも若干欠かさせていただいたが、政府の行政刷新会議(議長・野田佳彦首相)が21日に開いた「提言型政策仕分け」の2日目の作業で、電波の割当先を競売で決める「周波数オークション」について、導入時期の前倒しと一般財源化が提案された。11月末の会議で確定すれば、数千億円とみられるオークションの収入を早期に政府財源化できるが、制度改正が必要なため、来年実施予定だった3.9世代携帯電話向け周波数の割当先決定が約1年ずれ込むことになる。

3.9世代携帯電話向け周波数については、オークション方式で行うとして、昨年11月に総務省は決定していたのだが、その後、このオークション方式は潰されて恣意的な割り当て方式が採用されることになっていた。もしこれがオークション方式で行われるとすれば、数千億円から、場合によっては1兆円くらいの値段が付けられるのではないかといわれていた。しかし、現在は、前記の恣意的な割り当て方式が行われる予定で、上限価格は2100億円と決められている。しかし、この2100億円の根拠は全く示されていないし、しかもこのお金は国庫に納められるのではなく、総務省などのお間下り先となっている財団法人に入ることになっているという。本来、国庫に入るはずの金を総務省の役人たちが横取りして、自らのポケットに入れようとしているようなものだ。また、この割り当て方式では、ソフトバンクとエーアクセスが名乗りをあげそうだというが、条件設定などからすると、ソフトバンクの可能性が極めて高いようだ。オークション方式を止めたのは、ソフトバンクに応札させるためのようで、その周波数の売却代金はまるでその後褒美あるいは報酬として総務省管轄の財団法人に入るかのようだ。

尚、3.9世代で割り当てられるのは900MHz1セットだが、次の4世代では700MHz帯で2セットが割り当てられる予定だという。これらまで含めると、オークション方式で行って、その代金が国庫に納められるとすれば、復興で必要とされる金額の3分の1くらいの資金が捻出できるかもしれない、という。

この点については経済ジャーナリストの町田徹氏が報じているので以下のリンクからぜひお聞きいただきたい。http://www2.jfn.co.jp/owj/thu/index.php

もし、それが本当のことだとすれば、官僚が、報酬目当てに、特定の企業の便宜を図るために、当初決まっていた政策を変更した、とも言えるし、また、本来、多額の資金が国庫に入るはずだったのに、その資金を国庫ではなく、自らが所管する財団法人に流して、私しているということになる。これは、犯罪にも等しい行為だ。

しかし、問題は、昨日も書いたのだが、政策仕分け自体に法的な権限が全く与えられていないことだ。政策仕分けでは、ただ単に「提言」するだけだ。その場では、官僚もしおらしい態度をしていても、会議が終われば、元に戻ってしまうだけだ。官僚は、また名前を変えて提出すればよいと考えているに違いない。

野田首相は、この政策仕分けの結果を予算編成に反映させていきたいと言っているようだ。そうであるならば、是非、この電波オークションの導入は進めていただきたい。

野田首相になってから、ただただ国民の負担を引き上げることばかりなのだが、すこしはこのような「しろあり」を退治して、国庫への収入が増えることをやってもらいたいものだ。

これへの対応で、野田首相の真の姿がわかることになるだろう。

「政策仕分け」が気が付いたら終わっていた:これこそ「仕分け」たらよい

提案型政策仕分けが、気が付いたら、もう終わってしまっていた。

(気が付いたら閉会式を行っていて、参加者は自画自賛の演説を行っているようだ…)

あまり新聞でも内容を見た記憶がないのだが、気のせいだろうか?

私が見たのは、「朝ずば」で蓮舫氏と古賀氏の議論くらいだ。

しかし、以前にも書いたが、法的な権限が全くないのに、「事業仕分け」だか「政策仕分け」だかよくわからないが、行うこと自体に意味はない。

以前に、「仕分けられた」事業のほとんどがゾンビのように名前を変えて、復活してしまっている。

朝霞の公務員住宅などが良い例だ。

もし、やろうとするならば、以前に仕分けたものが、実際に、どのようになっているかをしっかりと検証してからにしてほしい。

そして、その結果、仕分けたものが、実行されていないという結論だったならば(そうなのだが…)、なぜそうなのかを分析し、

今後の対策を立てて欲しい。

実は、事は簡単で、国会で新しい法案を通して、「仕分け」に法的権限を持たせればよいのだ。仕分けられたものは、法律に従って、廃止ないしは見直しをしなければならない、とすればよいだけだ。そうでなければ、ただのパフォーマンスだと言われてもしょうがない。お金と時間をかけてやることなので、最初から、実行されることはないとわかっていてやることは税金の無駄遣いだと言われてもしょうがない。

また、東日本大震災の復旧は全く進んでいない。本来であれば、こんな無駄な事をやっている時間などないはずだ。

またぞろ出てきた円高対策論:かつてのPKOでは6兆円の損をし、外為特会では、今現在で40兆円超の含み損になっている

1122日の日経によれば、またぞろ公的資金を使った「円高対策論」が出てきているようだ。

http://www.nikkei.com/access/article/g=9695999693819481E0E3E2E0E58DE0E3E3E3E0E2E3E39797E3E2E2E2

1031日の大規模な介入にもかかわらず、円相場は元に戻ってしまい、76/ドル台で高止まりしているため、「有効な円高対策を」との声はやまず、霞が関や日銀が神経をとがらせている、という。

そこで、与党内で、「年金積立金で外債を購入できるのではないか」という構想が浮かんでいる、という。厚生年金と国民年金の積立金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の資産額は約120兆円。現在は国内債券での運用が中心だが、その一部を米国債など外国債券に振り向けるという内容だ。GPIFが米国債での運用比率を高めれば、それに伴って円売り・ドル買いの取引が発生して、結果的に円売り介入と同じ効果を生み、円高是正が期待できる、という。

しかし、何度も繰り返すが、たとえGPIFの資産120兆円を使ったとしても、時間がたてば、今回のようにまた元に戻ってしまうだろう。かつてとはちがい、世界の投資マネーの規模は大きいし、円高の根本的原因が解決しない限り市場介入など全く意味がない。

尚、ここで、GPIFという名前が出てくることも問題だ。GPIFは現在問題となっている国民の年金資金の運用管理を行っている組織だ。過去10年以上にわたる低金利と株式市場の低迷で、運用環境が厳しい中、その運用利回りも低迷している。また、近年は、年金給付の金額が増加して、毎年、資金は出超となっている。つまり、総資産は減少している。

しかし、今までもそうだったが、運用環境などが厳しいからといって、むやみにリスクを取った運用は行ってこなかった。その運用は、資産と負債の正確に照らし合わせて運用を行ってきている。

それらを全く無視して、お金があるところなら何でもよいといった感覚で、「円高対策」に利用しようというのは如何なものか?

以前は、GPIFではなく、常に郵貯・簡保の名前が挙がったものだ。既に、かなりの年月が経過して忘れてしまった方や、全くご存知ない方も多いとは思うが、1990年代初めに、バブル崩壊によって株価が下落した際に、その株価を支えるために株価維持政策(PKOPrice Keeping Operation)なるものが行われた。つまり、郵貯・簡保のお金を使って市場から株式を購入したのだ。

之には多額の資金が投入され、1990年代後半や2000年代に入ってから株価が下落した際も、再度同じことを行うべきだという意見も再三あがった。しかし、この政策は御語地に失敗して、郵貯・簡保では6兆円あまりの実損が発生した。機会損失等を考えれば、この23倍くらいの損と考えてもよいだろう。当時は、郵貯・簡保は国有であったわけで、その資金は国民のお金とも言えるし、預金者や保険者のお金ともいえる。

また、GPIF以外にも、日銀が50兆円余りの資金を使って外債を購入したらという案も別途出されている。50兆円といえば、日本の1年間の税収よりも大きな金額だ。既に外為特会では、1年分の税収に匹敵する40兆円の含み損があるのだが、やっても意味のない為替の市場介入に何故このような暴挙が行われているのだろうか?

金融問題といえば、すぐにロックフェラーやラスチャイルドの名前を挙げて、ユダヤの陰謀論が叫ばれることが多いのだが、陰謀でも何でもなく、日本人が、自らの資産を食いつぶそうとしている。国際陰謀論でも何でもない、ただの国内問題だ。無為無策の政治家や官僚によって、国民の大事な資産が食いつぶされようとしている。

 

財務相"納得いくまで介入":為替の市場介入は「トイレのないマンション」:原発と同じ構造

円相場が徐々に水準を切り上げ始めた。安住財務大臣が、「市場がどう思おうと、私としては納得いくまで介入する」と述べて、大規模介入を行ってから半月余りが経過した。http://www3.nhk.or.jp/news/html/20111031/k10013620641000.html

以前から何度となく書いてきたが、為替の市場介入は、全く効果がない。そもそも、市場環境が20年、30年前とは全く異なっている。今回にしても、安住財務大臣が「市場の投機的な動きに対しては断固たる措置を取る」と発言してきたが、円高というよりも他通貨が弱くなっているもので、市場介入を行っても、円高の原因となっている根本的な原因を解決できるわけでも何でもない。

また、今回の介入にあたっての安住財務大臣の発言で、財務省・日銀が目標としている水準が透けて見えてしまったために、円安になった場合には、買い方は安心して買っていけることになってしまった。安住大臣が言及した投機筋を設けさせるために市場介入を行っているようなものだ。

これも何回も書いているが、日本の外為特別会計は、既に保有資産の40%程度、つまり40兆円近い含み損益を抱えている。これは日本の1年間の税収に相当する。

介入によって積み上がったドル資産を、いずれかのタイミングで円に戻して、介入資金の原資となった政府短期証券による借入(つまり借金をして介入を行っている)を返済することが出来ればよいが、日本はそれをしたことがないし、「その選択肢はない」。それは、そのドル資産は、米国債の購入に宛てられ、一旦買ったら、それを売って資金を回収するということは米国との関係上できないからだ。

これは、福島原発事故以降に大きく取り上げられるようになった原子力政策と同じように「トイレのないマンション」、表現が良くないので言い換えれば「出口のないマンション」と言ったところだ。つまり、外為特別会計は、増えこそすれ、減少するということがないわけだ。このままでは、外為特別会計がとんでもない含み損を抱えてしまう可能性が高くなる。既に40兆円の評価損があるのだが、これ以上増えたらどうなるのだろうか?

東京大学大学院経済学研究科の伊藤正直教授は13日に開催された国際シンポジウム「日本の啓示」で、「日本の現在の外貨準備は先進国と比較しても多すぎる、と警鐘を鳴らしている。http://j.people.com.cn/94476/7645504.html

年金支給開始年齢引き上げ先送りへ:しかし、そもそも論として、約束が違いすぎるのでは?

年金の支給開始年齢を68歳から70歳くらいに引き上げるという議論が起こっていたが、とりあえず先送りとなったようだ。http://sankei.jp.msn.com/politics/news/111027/plc11102700090000-n1.htm

その議論と並行して、希望する従業員には65歳まで雇用する義務を企業側に課そうという話が出てきていた。

しかし、これには違和感を感じざるを得ない。というのは、これまでの年金制度では、60歳まで働いたら、それ以降は年金だけで安心して老後を過ごせますよということが盛んに喧伝されて、年金制度が維持・発展されてきたからだ。それがいつの間にか、支給開始年齢に達するまでは働かなければならない、ということになっている。これでは将来の人生設計に関する考え方が根本から変わってきてしまう。もし、70歳まで支給開始年齢が引き上げられたら、70歳まで働かなければならない、ということになるのだろうか?

多分、年金の掛け金もずっと払わされることになるだろうから、男性の場合であれば、平均寿命からすると、50年近く年金の掛け金を払って、受給できるのは10年に満たない、ということになる。一体、この年金制度というのは、誰のための制度なのだろうか?

厚生年金基金や共済年金制度がつくられたのは、公務員の天下り先を確保するためだった、という話を旧厚生省の官僚から聞いたことがある。厚生年金基金でいえば、一番多い時で、2000近い基金が設立されていた。その運営は、理事長、常務理事、事務長などと事務員若干名ということが多い。そのうち、常務理事と事務省は社会保険庁からの天下りがほとんどだ。規模が大きな基金では、常務理事は旧厚生省からの天下りポストになっているところもある。そもそも、設立の認可を出す際に、旧厚生省や社会保険庁から何人という数が決められ、その給与までいくらということが指示されることも多かったそうだ。

80年代以降は、年金と福祉が「車の両輪」と呼ばれ、年金基金が、福祉施設を多額の費用をかけて盛んに建設した。しかし、結局は、バブルが崩壊して、それらの施設は価値が急減したばかりでなく、利用者も増えない中で、赤字を垂れ流し、年金積立金がそれらの赤字の補てんに使われるということになってしまった。

本論からそれてしまったが、年金制度は既に制度疲労を起こしている。抜本的な改革が必要だろう。具体的には、現在の賦課方式について徹底的に議論する必要があるだろう。通常、家計が厳しい場合には、出るお金を何とか減らすことから入って、また、同時に、副業などで何とか少しでも収入を増やそうということが行われるだろう。しかし、現在の年金制度では、通常であれば、真っ先に行われるであろう「出るお金を減らそうという努力」は全く行われていない。それは「給付金額の見直し」のことだが、本来、制度で定められて行われるべきインフレ調整さえ行われていない。そのため、過去10年近くで5兆円以上が余分に支払われている。これは少なくない金額だ。

民主党政権が誕生した時には、いわゆる「埋蔵金」や「人件費削減」などでかなりの財源をねん出すると言っていたが、全く何も行っておらず、結局足りない足りないで、その分をすべて増税で賄おうとしている。この年金制度でも全く同じだ。このようなやり方ではいくらお金を集めても、穴の開いたバケツに水を入れるようなもので、いくらあっても足りない。

緊急経済対策の基金が2兆円使い残し:まだまだ増税前にやることがあるのではないか?

リーマン・ショックを受けた緊急経済対策として2008年度と09年度の国の補正予算で設立された各都道府県の基金を会計検査院が調べたところ、10年度末時点で総額約34000億円の41.4%しか使われず、約2兆円も残っていた、という。この調査の対象となった基金の設立は自民党政権下だが、緊急経済対策などを実施する際の構造的な問題点として今後も点検が必要だ、としている。http://www.nikkei.com/news/headline/article/g=96958A9C93819691E3E5E2E2E58DE3E5E3E2E0E2E3E39C9CEAE2E2E2

これは、地方自治体のニーズを点検せず、国主導で予算を編成した点に問題がある。また、安易に基金を多用した面もあるという。通常、国や地方自治体の予算は単年度で消化するルールに縛られるが、基金を使えば事業実施は複数年度にわたることを認められるため、急を要しない予算が多く計上された、というのだ。これだと、役所の権限や縄張りだけを広げる悪弊を招きやすい。

しかし、2兆円は小さな金額ではない。民主党は、政権を取ってから、それまで声高に叫んでいた「埋蔵金」による歳入捻出と、無駄な予算の削減を全く行っていない。すいかし、このようなニュースに触れると、まだまだやることがありそうな気がしてくるのだが・・・増税するという10兆円くらい簡単にできてそうな気がするのは私だけだろうか?

最近、よくわからず気になること:「16京円相当の金塊」とは?

最近のネット情報で気になっていることですが、金額(数値)のあまりの大きさに驚かされることがあります。

天皇家が李家に預けていた16京円を日本に戻して復興資金として使用するというもので、そのうち8京円が米国に渡されるという話があります。いわゆる「天皇の金塊」に関わるものです。しかし、この数字はあまりにも大きくないでしょうか?

以下、この数値に関して、記載させていただきますので、ご参照ください。

16京円」という金額が出ていますが、よく読むと「16京円相当の金塊」です。

この16京円という数字は、2009年の数値でいえば、世界のGDPの合計値が5806810億ドル)つまり75/$で計算すると4350兆円です。

16京円というのは世界のGDPの合計値の37年分です。

また、金塊として考えた時に、4000/gで計算すると、4000万トンになります。

この4000万トンというのは比重を考慮すると200m3です。金の価格が上がってこの数字ですので、1年くらい前であれば300m3という具合にとんでもない数値になります。

現在の金の地上在庫は(これが正しくないことは明らかですが)、165600トンですので、4000万トンということになると、その240倍です。

尚、現在の世界の産出量は、2440トン/年ですから、4000万トンは、16400年分です。

16京円でも、8京円でも、あるいは1京円でも大変な金額です。もし、それらが使えるのならば、今の世界の金融問題は(数字上は)解決するでしょう。にもかかわらず、それと同時に、世界の危機を煽るような情報を流すというのは、どうしてなのでしょうか?

中国人も乗りたがらない中国高速鉄道(新幹線)

先週末から中国へ出張していました。今回は、上海から入り、現地の社員と合流して、河南省の鄭州までの出張でした。

上海から鄭州までは、私にとっては初めての経験でしたが、夜行寝台列車でした。列車は、上海を夜730分ころに出発して、翌朝5時頃に鄭州駅に到着します。一部屋に上下二段のベッドが左右に二つ並んでいて、4人で一部屋となります。乗る前に、白酒、おつまみや食料を買い込んで、ゆっくりとお酒を飲みながらの旅です。

しかし、上海⇔鄭州間は高速鉄道(新幹線)も開通しています、何も夜行寝台でなくとも・・・と思い、現地の社員に聞いたところ、便が日に3便しかないこともあるのですが、要は、新幹線には乗りたくない、ということなのです。温州での事故のようなことがあったらたまりませんし、ちょっとした故障などで、遅れることも多いようで、時間が計算できないのでいやだと言います。

ちょうど私の出張中に、「時速195キロで居眠り運転」というニュースも飛び込んできました。福建省厦門発浙江省温州行きの高速鉄道で、時速195キロで走行していた列車の運転士が居眠りをしていたと、乗客が証拠写真付きでミニブログ上で「告発」したのです。http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20111107-00000083-jij-int

25歳の女性が、空調が故障して開け放しになっていた運転席をのぞくと、運転士は背もたれにもたれかかり、熟睡状態だった、というものです。ネット上では、「中国の高速鉄道技術が世界一だと証明した勇ましい運転士」「眠っていれば、人為ミスも起きない。」などと、皮肉なコメントも流されているようです。

経済の拡大に向けて驀進する中国ですが、そのハードとソフトの品質・安全性などにはまだまだ国民の信用を得るには至っていません。ひょっとしたら英会陰にそれらは得られないかもしれません。

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年金、デフレの罠 「もらい過ぎ」6年で15兆円: 将来世代への負担の先送りはやめよう

年金のもらい過ぎが、6年間で15兆円にも上るという。http://www.nikkei.com/news/headline/article/g=96958A9C93819481E0EAE2E0978DE0EAE3E2E0E2E3E39797EAE2E2E2

先にも物価スライドが行われていないことで、5兆円以上が過大に支払われているということが報じられていた。しかし、今回のニュースは、それよりもさらに制度の根本的な問題だ。

自公政権は04年改革で所得代替率を毎年度、小刻みに切り下げ、23年度以降は50.2%に固定すると決めた。それは、年金財政の長期安定性を高めるねらいがあり、2100年ごろまで50.2%を保つと厚生労働省は試算した。それが坂口力厚労相(当時)らが「百年安心」と名づけた経緯だった。しかし、問題は、実際の支給水準が本来水準を下回ってから、04年の改革で導入した所得代替率を下げる制度を発動すると決めている点にある。政治的な理由から、先の物価スライドは、特例法によって行われていない。そのため、所得代替率を引き下げるという制度自体が発動されずに来てしまったことだ。そのために、物価スライドと所得代替率の両方が引き下げられずに、6年間で15兆円も過大に支払われてしまっているのだ。

6年間で15兆円というのは、今回の10年間で10兆円という増税額よりも大きな金額だ。このままで行ったら、今後の増税と同じ期間に、いったいどれだけ過大な給付金額が支払われることになるのだろうか?今後10年間で30兆円くらいの金額に入ってしまいそうだ。

年金制度が出来てから、政治的な理由で、支給額ばかりはどんどん引き上げられてきた。しかし、現在の賦課制度では、もはやそのような水準を維持することが出来ないのは自明だ。

将来世代にツケを回さないようにしようとするならば、一時的な復興資金の為に増税を行うのではなく、賦課制度で運営される年金制度こそが給付と負担のバランスについて議論しなければならないのではないか?

関連する内容は、以下をご参照ください:

109             年金支給開始年齢 引き上げ検討へ:それよりもまずは給付額削減や物価スライドの厳格な適用をhttp://www.k2o.co.jp/blog/2011/10/post-38.php

102             年金減額見送り額5.1兆円:「次世代にツケを回すな」ではなかったのか?http://www.k2o.co.jp/blog/2011/10/51.php

【Crossroad誌:掲載記事】 『なぜわからないの』(門倉直子)(2011年11月号)

日本語と中国語のバイリンガル・マガジン『Crossroad誌』11月号に以下の記事が巻頭エッセーとして掲載されましたのでご紹介させていただきます。

毎月このような形で同誌の『巻頭エッセー』として、日本の若手アーティストを紹介する記事を書かせていただいております。同誌は、中国の華南地方(主として 広東省と香港)を中心に、ビジネス情報を主体としてはいますが、文化や芸術等様々な情報を発信している雑誌です。編集部は、現在夏季ユニバーシアードが開 催されている広東省・深圳市にあります。

今回は「門倉直子」さんの「なぜわからないの」という作品です。

 

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コメント:

「なぜわからないの」と、このような少女に問われたら、あなたはどのように返しますか?このように大きな目で、しかもこのように強いしかも揺らぎもしないまなざしを突きつけられたら?大人の男性であっても、この目を直視していることには耐えられないのではないでしょうか?なにかこちらの心の中まですべてお見通しといった感じで、戸惑い、恐れ、思わず目をそらしてしまいそうだ。

この少女は何をわかってほしいのだろうか?髪を染めて、Lady Ga Gaのように結ってきたことをわかってほしいのか?ほかの子とちょっと違うというところをわかってほしいのか?あるいは、ちょっと“とんがった”ことをすることで、彼女自身に目を向けてほしいという“サイン”を出していることをわかってほしいのか?

作家の門倉さんが描くのは「少女の顔」であり、そして、「少女」という独特の「存在」を描いている。彼女たちは、新しいファッションを身に着け、メイクをし、「カワイイ」「カッコイイ」存在であるために一生懸命だ。そのような少女たちの一瞬一瞬を切り取った時に、我々が直視できないような表情や存在感が生まれるのかもしれない。

作家が描く少女たちは、一様に、目が大きく、鼻が小さいと言ったように、アニメチックで現実には存在しえないような顔なのだが、そうでありながら、あるいは逆にそうであるからこそ、非常にリアルなイメージが伝わってくる。作家自身は、どちらかと言えば、彼女の画に登場する少女たちとは異なる謙虚さを秘めた優しいイメージの女性だが、彼女自身が描く少女たちに憧れのような感情も抱くという。そのように、作家が強いイメージを持っているからこそ、その少女から非常にリアルなイメージが伝わってくるのかもしれない。しかし、一旦、作家の手から離れた少女たちは、作家の思いから離れ、その独立した存在は、「なぜわからないの」と、自分自身の存在を主張し始めるのではないか。そのためか、作家の描く少女たちに囲まれると、言いようのない何か不思議な雰囲気に包まれて、じっとはしていられないのだ。

略歴:

1997   千葉県に生まれる

2001   文化学院芸術専門学校卒業

個展

1999年 初個展「N局」 (巷房)

2000年 個展 (アートスペース羅針盤  以降、計5回開催)

2001年 個展 (ざくろ坂ギャラリー 一穂堂)

2001年 「昨日の怒り 今日のユウウツ」 (ギャラリー蔵)

2004年 「―face=sarface?今日の絵画に見る顔―」 (ギャラリーSAZA

2007年 「空想する少女たちへ」 (アートスペース羅針盤)

2008年 個展 (ギャラリー椿)

2008年 「cat walk」 (アート★アイガ)

2009年 「Revue girl」 (アート★アイガ)

2010年 「-あちらとこちらの世界から-」 (ギャラリー椿)

2011年 「なぜわからないの」 (アート★アイガ)

受賞

2000年 文化フォーラム104柏市美術展 大賞(審査員;峰村 敏明氏)

2003年 文化フォーラム104柏市美術展 大賞(審査員;本江 邦夫氏)

2003年 エプソンカラーイメージングコンテスト 佳作

2004年 プリンツ21グランプリ 入選

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